NASキットおすすめ8選 2.5GbE・CPU・メモリ増設で比較
NASキットは「何ベイか」で選ばれがちです。2ベイと4ベイが並んでいれば、4ベイのほうが上位機に見えます。ドライブを何台入れられるかは、たしかにカタログでいちばん目立つ数字です。
ところが、置いたあとに効いてくるのはベイの数ではありません。体感の速さを決めているのはLANポートです。1GbEのポートは理論値で125MB/s、実測では110MB/s前後で頭打ちになります。HDD1台の連続読み書きで埋まってしまう数字です。ドライブを4台入れてRAIDを組んでも、出口が1GbEのままなら速くはなりません。
しかも、値段の順にLANが速くなるわけではありません。この記事の8台では、5万円台後半の4ベイ機が2.5GbEで、7万円台の4ベイ機は1GbEです。ここでは8台を参考価格の順に並べ、ベイ数・CPU・メモリ・LANポート・M.2スロットの5つで比べます。
目次(11項目)
先に確かめること:PCと家のLANが何Gbpsか
NASの2.5GbEが効くのは、経路の全部が2.5Gbps以上のときだけです。NASが2.5GbEでも、間のルーターやハブが1Gbpsなら、そこで1Gbpsに落ちます。PC側のLANポートが1Gbpsでも同じです。ネットワークは、いちばん遅いところが上限になります。
買う前に3か所を数えます。PC本体のLANポート、机とルーターの間に挟んでいるスイッチングハブ、そしてルーターのLANポートです。ハブは「2.5G対応」と書いてあっても全ポートが2.5Gとは限らず、1本だけ速いという構成があります。家庭用のルーターは有線ポートが1Gbpsのものがまだ多く、Wi-Fiルーターの比較で見ると、2.5Gbpsの有線ポートを持つ機種は上位の一部に限られます。ここが1Gbpsなら、NASだけ2.5GbEにしても速度は変わりません。間をつなぐLANケーブルのカテゴリ別の比較も見ておくと、2.5Gbpsで足りるうちは買い替えが要らないことが分かります。
確かめ方はOSごとに違います。macOSは「システム情報」のネットワークで、リンク速度が出ます。Windowsはncpa.cplでアダプターのプロパティを開くか、PowerShellで次を打ちます。
# 有効なネットワークアダプターのリンク速度を並べる
Get-NetAdapter | Format-Table Name, Status, LinkSpeed
ここで1 Gbpsと出るなら、NAS側を2.5GbEにしても意味がありません。逆にPCが2.5Gbps対応なら、NASを1GbEのままにする理由がなくなります。
NASの速さを決めるのは、ベイ数ではなくLANポートです
LANポートの速度をMB/sに直すと、上限がはっきりします。1000Mbpsを8で割ると125MB/s、2.5Gbpsなら312.5MB/sです。UGREENの日本語公式ページも、2.5GbEについて最大312.5MB/秒と書いています。
| LANポート | 理論上限 | この記事の該当機 |
|---|---|---|
| 1GbE×1 | 125MB/s | DH2300 / DS223j |
| 1GbE×2 | 合算250MB/s(1台のPCからは125MB/s) | DS423 |
| 2.5GbE×1 | 312.5MB/s | F2-425 / DXP2800 / F4-425 / TS-433 |
| 2.5GbE×2 | 合算625MB/s | AS5404T |
理論値と実測は近い数字になります。TERRAMASTERは1GbE機であるF4-212の仕様ページに読み込み112MB/s・書き込み110MB/sという値を載せていて、125MB/sの理論値のすぐ下です。いっぽうHDD1台の連続読み書きは、いまどきの3.5インチなら150MB/sから200MB/s台に届きます。つまり1GbEのNASは、ドライブが1台のときからもうLANが足を引っぱっています。
ここで誤解されやすいのが1GbE×2です。ポートが2つあるので合算では250MB/sですが、1台のPCとの1本の転送では125MB/s止まりです。2つのポートを束ねても、増えるのは同時に相手をできる台数のほうです。DS423が4ベイでこの構成なので、大きなファイルを1台のPCと往復させる使い方では、2ベイの1GbE機と体感が変わりません。2.5GbE×2のAS5404Tだけは、SMBマルチチャンネルで1台のPCからも2.5Gbpsを超えられるとASUSTORが説明しています。
なお表のTS-433は、2.5GbEが1つに加えて1GbEをもう1つ持っています。表のセルは速い側だけを書いています。2本目は別のネットワークにつなぐか、管理用に分けるための口です。
CPUがARMかx86かで、動かせるものが変わります
NASを「ファイルの置き場」としてだけ使うなら、CPUの系統は気にしなくて構いません。効いてくるのはコンテナを動かしたくなったときです。ARMのNASでは、arm64向けに配られているイメージしか動きません。個人開発のツールやセルフホストのアプリには、amd64だけで配っているものがまだ多くあります。
そこで8台のCPU型番を系統ごとに振り分け、各社の公式パッケージ一覧を機種名で引いて、コンテナの扱いを3段階に分けました。「そもそも足せない」「動くがarm64のみ」「amd64のイメージがそのまま動く」の3つです。
| 製品名 | CPU | 系統 | コンテナ | 公式ページ |
|---|---|---|---|---|
| UGREEN NASync DH2300 | Rockchip A72+A53 8コア | ARM | そもそも足せない | UGREEN Solution & Software |
| Synology DS223j | Realtek RTD1619B | ARM | arm64のみ | Synology Container Manager |
| TERRAMASTER F2-425 | Intel Celeron N5095 | x86 | amd64がそのまま動く | TOS 6 Docker Manager |
| UGREEN NASync DXP2800 | Intel N100 | x86 | amd64がそのまま動く | UGREEN Solution & Software |
| TERRAMASTER F4-425 | Intel Celeron N5095 | x86 | amd64がそのまま動く | TOS 6 Docker Manager |
| Synology DS423 | Realtek RTD1619B | ARM | arm64のみ | Synology Container Manager |
| QNAP TS-433 | Cortex-A55 4コア | ARM | arm64のみ | QNAP App Center(TS-433) |
| ASUSTOR AS5404T | Intel Celeron N5105 | x86 | amd64がそのまま動く | ASUSTOR Docker Engine |
いちばん注意が要るのはDH2300です。UGREENの公式FAQは、DH2300はDockerに正式対応しておらず、DH4300 PlusとDXP系(DXP2800を含む)が対応する、と名指しで書いています。同じNASyncという製品名でも、下の機種にはコンテナの機能そのものがありません。
SynologyのDS223jとDS423は、Container Managerの適用機種一覧に23シリーズとして載っています。QNAPのTS-433も、App CenterをTS-433で絞り込むとContainer Stationが出てきます。どちらも動きますが、CPUがARMなのでイメージの側がarm64に対応している必要があります。「Dockerが動く」と「動かしたいイメージが動く」は別の話です。amd64のイメージを本気で回すなら、NASキットではなく自宅サーバー向けミニPCの比較で扱っているx86のミニPCという選び方もあります。
逆に言うと、コンテナを前提にしないなら、ARMであることは欠点になりません。写真と書類の置き場、PCのバックアップ先、家庭内の共有フォルダという使い方なら、ARMのNASで足ります。この記事の採点でARMに低い点を付けているのは、あくまで「あとから用途を広げられるか」という軸で見た場合です。
メモリは、増やせる機種と基板直付けの機種があります
NASのメモリは、同時に動かすサービスの数で効いてきます。ファイル共有だけなら1GBでも動きますが、写真の顔認識やコンテナを2つ3つ動かすと足りなくなります。ここで分かれるのが、SODIMMのスロットを持つ機種と、基板に直付けの機種です。
- 増設できる:F2-425とF4-425はDDR4のSODIMMスロットが1本、AS5404Tは2本あり、いずれも16GBまで上げられます。DXP2800は8GB DDR5を積んだ状態で出荷され、16GBまで増やせます
- 買った時点が上限:DS223jは1GB、DS423は2GB、DH2300とTS-433は4GBで、どれも増設スロットがありません
7万円台のDS423が2GB固定である一方、4万円弱のF2-425が16GBまで伸びる、という並びになります。値段ではなく、基板の作りで決まっている差です。あとから足せない機種を選ぶなら、その容量で足りる用途に絞ることになります。
増設できるモデルを選んだあとは、挿すモジュールの側にも見る欄があります。箱に書いてある速度と、挿しただけで出る速度(SPD速度)が別の値になっていて、後者を出すにはXMPかEXPOを有効にすることになるためです。その読み方はDDR5メモリの比較記事で8台ぶん並べました。NASキットに載るのはSODIMMで、DDR4の機種とDDR5の機種があるので、本体の仕様を先に確かめてから買います。
並べ直すとこうなります
| 製品名 | ベイ数 | CPU | メモリ最大 | LANポート | M.2スロット |
|---|---|---|---|---|---|
| UGREEN NASync DH2300 | 2 | ARM | 4GB(拡張不可) | 1GbE×1 | なし |
| Synology DS223j | 2 | ARM | 1GB(増設不可) | 1GbE×1 | なし |
| TERRAMASTER F2-425 | 2 | x86 | 16GB(SODIMM×1) | 2.5GbE×1 | なし |
| UGREEN NASync DXP2800 | 2 | x86 | 16GB | 2.5GbE×1 | 2 |
| TERRAMASTER F4-425 | 4 | x86 | 16GB(SODIMM×1) | 2.5GbE×1 | なし |
| Synology DS423 | 4 | ARM | 2GB(増設不可) | 1GbE×2 | なし |
| QNAP TS-433 | 4 | ARM | 4GB(拡張不可) | 2.5GbE×1 | なし |
| ASUSTOR AS5404T | 4 | x86 | 16GB(SODIMM×2) | 2.5GbE×2 | 4 |
TS-433のLANポートは、表の2.5GbE×1に加えて1GbEをもう1つ持っています。速い側だけを書いています。
並べると、値段の順になっていないところが3か所出てきます。
- ほぼ同じ値段で中身が逆:参考価格¥39,990のF2-425はx86・メモリ16GBまで・2.5GbEで、¥36,970のDS223jはARM・1GB固定・1GbEです。3千円の差で、伸びしろがまるで違います
- 安いほうが上位の構成:¥58,390のF4-425と¥76,094のDS423は同じ4ベイですが、F4-425のほうがx86・2.5GbE・16GBまでで、約1万8千円安く付きます。DS423にはM.2スロットもありません
- 高い側が劣る組み合わせ:¥77,090のTS-433も4ベイですが、ARM・4GB固定・M.2なしで、F4-425に対して約1万9千円高くなります
この3つが、NASで「値段の順に良くならない」と言われるところです。ベイ数だけを見て比べると、まず気づけません。
用途から引き当てる
何を置くかで、見る列が変わります。
| 使い方 | 効いてくる列 | この記事の該当機 |
|---|---|---|
| 写真と書類の置き場だけ | ベイ数と値段 | DH2300 / DS223j |
| PC全体のバックアップ先 | LANポート | F2-425 / DXP2800 |
| コンテナでツールを動かす | CPUとメモリ最大 | F2-425 / DXP2800 / F4-425 / AS5404T |
| 動画素材を直接編集する | LANポートとM.2 | AS5404T |
| 容量を足しながら長く使う | ベイ数とメモリ最大 | F4-425 / AS5404T |
1行目と3行目では、選ぶ機種が重なりません。安い機種が悪いのではなく、用途の側が違います。
1行目の「写真と書類の置き場」には、自炊した本や取り込んだ書類のPDFも入ります。ドキュメントスキャナーで紙をPDFにすると、毎月まとまった量のファイルが増えていくので、パソコンのディスクではなくNASに置くほうが後で探しやすくなります。スキャナー側が無線LANを持っていれば、取り込みから保存までLANの中だけで完結します。
おすすめのNASキット8選
2万円台:いちばん安く始められる2ベイ
独自採点の規則(5項目・各5点)
楽天のレビューは商品によって件数が1件から数百件までばらつき、件数の少ないものは1人の評価で平均が1点以上動きます。楽天側でレビューが消えると数字も黙って変わるので、順位付けには使っていません。代わりに、下の規則でスペックから機械的に点を出しています。記事に載せている表の値をそのまま当てはめているだけなので、読者が検算できます。総合点は5項目の単純平均です。用途によって効く項目が違うので、総合点だけでなく項目ごとの差を見てください。
- 導入しやすさ
- 参考価格。3万円未満=5 / 4万5千円未満=4 / 6万円未満=3 / 8万円未満=2 / それ以上=1。ドライブは別売りで、この値段に含まれません
- 転送の上限
- 1GbEは実効110MB/s前後で、HDD1台の連続読み書きでも埋まります。1GbE×1=1 / 1GbE×2=2 / 2.5GbE×1=4 / 2.5GbE×2=5
- コンテナを動かせるか
- CPUの系統。ARM=2(arm64向けのイメージしか動きません) / x86=5(amd64のイメージがそのまま動きます)
- 後からメモリを増やせるか
- 公式仕様の最大メモリ容量。2GB未満=1 / 4GB未満=2 / 8GB未満=3 / 16GB未満=4 / 16GB以上=5。基板直付けの機種は標準容量がそのまま上限です
- ドライブを足せる余地
- ドライブベイの数。2ベイ=2 / 4ベイ=4 / 5ベイ以上=5。RAID 1にすると使える容量は1台ぶんになります
ベイ数・CPUの系統・メモリ最大・LANポートは、記事の比較表に載せている値をそのまま使っています。RAIDの種類・M.2スロットの数・搭載OSは8台ぶんが同じ土俵で揃わないので採点には使わず、本文で扱っています。
3万円台:DSMをいちばん安く試せる
4万円弱:x86と2.5GbEが同時に入る
5万円台前半:M.2スロットが2つ
5万円台後半:4ベイでx86と2.5GbE
7万円台前半:4ベイでDSMが使えるARM機
7万円台後半:4ベイでRAID 5と2.5GbE
8万円台:2.5GbEが2つとM.2が4つ
ドライブは別売りです
ここで挙げた8台はすべてキットで、ドライブは入っていません。本体の値段に、ドライブ代がそのまま上乗せされます。4TBのNAS向けHDDを2台入れれば、本体と同じくらいの金額になることもあります。1台だけ足せば足りるなら、外付けHDDのほうが総額は安く済みます。予算はキット単体ではなく、この合計で見ることになります。
選ぶドライブの性格も効いてきます。RAID 1やRAID 5を組んでいると、1台が壊れたときに残りの台から再構築します。この再構築の間は全台を長時間読み続けるので、そこでもう1台落ちると全部失います。連続稼働を想定した外付けHDDの比較記事で扱っているように、24時間動かす前提の設計かどうかがここで差になります。ドライブは同時に買わず、製造ロットをずらすという考え方もあります。
もう1つ、再構築の前に手が止まるのがベイの取り違えです。前面に書かれているのはベイ番号だけなので、どのシリアルのドライブがどこに入っているかは抜いてみるまで分かりません。設置したときにベイ番号とシリアルの下6桁を貼っておくと、その場で照合できます。6mm幅のテープに2段で入るかどうかは印刷解像度で決まるので、ラベルライターの比較記事にその計算を載せています。
M.2スロットを持つDXP2800とAS5404Tでは、SSDをキャッシュに回せます。ただしキャッシュが効くのはよく読む同じファイルに対してで、LANの上限を超えることはできません。1GbEのNASにSSDを足しても125MB/sのままです。
2.5インチのSSDやHDDを載せる場合
ベイの見た目は3.5インチのHDDに合わせてありますが、8台とも2.5インチのSATAドライブを受けます。ただし各社の書き方はそろっていません。ドライブの形状を仕様表に持っている会社と、互換性リストのほうに逃がしている会社があるので、公式ページで確認できた範囲を並べます。
| 製品名 | 載る2.5インチのドライブ | 出典 |
|---|---|---|
| UGREEN NASync DH2300 | SATA SSD | UGREEN NASの互換性リスト |
| Synology DS223j | SATA SSD | DS223jの仕様 |
| TERRAMASTER F2-425 | SATA HDD/SATA SSD | F2-425の仕様 |
| UGREEN NASync DXP2800 | SATAドライブ | DXP2800の製品ページ |
| TERRAMASTER F4-425 | SATA HDD/SATA SSD | F4-425の仕様 |
| Synology DS423 | SATA SSD | DS423の仕様 |
| QNAP TS-433 | SATA SSD | TS-433のハードウェア仕様 |
| ASUSTOR AS5404T | SATA HDD/SATA SSD | AS5404Tの仕様 |
細かい差もそのまま書いておきます。TS-433は「3.5インチベイ」の互換ドライブとして3.5インチSATA HDDと2.5インチSATA SSDを挙げていて、2.5インチのHDDは入っていません。2.5インチのHDDまで名指ししているのはTERRAMASTERの2台とAS5404Tです。DH2300は製品ページの仕様表にドライブの形状の欄そのものが無いので、互換性リストのほうを見ています。DXP2800はFAQに「2台のSATAベイは3.5インチと2.5インチのSATAドライブを受ける」とあるだけで、HDDとSSDの区別は書かれていません。
取り付けに要るものが公式仕様に出ているのは1台だけです。DS223jの仕様ページには、2.5インチのドライブを付けるにはオプションのドライブホルダー(Type C)を別に買う必要がある、という注記が入っています。同じSynologyでもDS423の仕様ページには同じ注記がありません。残りの6台は変換マウンタについて公式仕様に記載が無く、こちらでも確かめていないので、必要かどうかは分かりません。
速さを期待して2.5インチのSSDに替えるのは、この8台では空振りになります。ベイの口はSATA 6Gb/sで、TS-433のハードウェア仕様にもそう書かれています。LANの2.5Gbpsより広い口なので、ドライブ側をいくら速くしても出口は312.5MB/sで止まります。1GbEのDH2300とDS223jなら125MB/sなので、差はもっと開きます。1つ上のM.2キャッシュと同じ理屈で、LANの上限は動きません。
2.5インチのSSDを選ぶ理由になるのは、回転する部品が無いことのほうです。NASは24時間動かす機器なので、ドライブのモーター音が消えるかどうかが置き場所を決めます。次の節でUPSと並べて置く話をしますが、寝室や書斎の近くに寄せられるかはここで変わります。発熱と消費電力も下がる方向に働きます。ただし各社が公開している消費電力は、ドライブを取り付けた状態で測った値が1つあるだけなので、HDDとSSDでどれだけ違うかはこの記事では出せません。自分のドライブを入れた状態で何W使っているかは、コンセントとの間に挟む電力を測れるスマートプラグで実測でき、月の電気代への直し方もそちらに書きました。
代わりに減るのが容量です。UGREENの互換性リストでDH2300を引くと、3.5インチHDDは44件あって最大32TB、2.5インチSATA SSDは9件で最大7.68TBでした(2026-09-11に確認)。1ベイあたりの上限が4分の1近くまで落ちます。2ベイ機を2.5インチSSDで埋めてRAID 1にすると、リストに載っている範囲では7.68TBが使える容量の上限になります。「容量を足しながら長く使う」で引き当てた機種を選ぶなら、中身は3.5インチのHDDのままにするほうが素直です。
再構築の時間も容量で決まります。RAID 1やRAID 5で1台を入れ替えたあとは、残りの台を最後まで読んで新しいドライブへ書き戻すので、容量が小さいほど短く終わります。2.5インチのSSDで組むと、その危ない時間帯が短くなるという言い方はできます。もっとも、そのために容量を4分の1にするかどうかは別の判断です。
24時間動くので、停電対策はセットで考えます
NASは電源を入れっぱなしにする機器です。パソコンと違って、書き込みの途中で電気が切れる場面に何度も出会います。RAIDの書き込み中に電源を失うと、パリティと実データがずれた状態で残ります。次に電源を入れたときの整合性チェックで時間を取られるだけならまだしも、ボリュームごと読めなくなることもあります。
ここを埋めるのがUPSです。停電を肩代わりして動き続けるためではなく、NASに終了処理をさせるための数分を稼ぐ道具だと考えると選びやすくなります。SynologyやQNAPはUSBケーブル1本でUPSを認識し、残量が減ったところで自分から安全に停止します。UPSの比較記事で、出力波形と対応の仕方を扱っています。
置き場所も同じ流れで決まります。NASとUPSは近くに置くことになり、どちらもファンの音が出ます。寝室に置くと音が気になるので、廊下の収納やルーターの近くに寄せる形が現実的です。
24時間動いている機械なので、見守りカメラの録画先にする使い方もあります。RTSPやONVIFに対応したカメラなら、SynologyのSurveillance Stationのような録画ソフトでNASに映像を貯められ、クラウドの月額が要りません。公式に対応を書いているカメラと、書いていないカメラの線引きは見守りカメラの比較にまとめました。
キットではなく自分で組むなら、シングルボードコンピュータにSSDをつないでファイル置き場にする形もあります。管理画面もRAIDも自分で用意することになりますが、2.5GbEとM.2 2280を基板に持つ機種なら、この記事の下の価格帯と同じくらいの費用で組めます。選ぶときの落とし穴はベイ数ではなく電源の要求のほうです。
まとめ:判断の順番
ベイ数から入ると外します。次の順に決めると絞れます。
- PCと家のLANが何Gbpsか。1Gbpsで止まっているなら、NASを2.5GbEにしても速くなりません
- コンテナを動かすか。動かすならx86の機種に絞ります。ARMでも動きますが、イメージ側がarm64に対応している必要があります
- メモリを増やせるか。基板直付けの機種は、買った時点の容量が一生の上限です
- ベイ数。RAID 1にすると使える容量は1台ぶんになるので、必要な容量の2倍を用意することになります
- ドライブとUPSを足した合計。キット単体の値段では予算を組めません
なお、この記事の仕様は各社の公式ハードウェア仕様ページとパッケージ一覧に載っている値です。8台を並べて転送速度を実測したものではありません。理論上限のMB/sは、LANポートの規格から計算した数字です。