LANケーブルおすすめ8選 CAT6A・CAT8・シールドの違いで比較
LANケーブルの棚にはCat5eからCat8まで並んでいます。数字が大きいほど速そうに見えますが、カテゴリの数字は通信速度の上限を表していません。伝送帯域とシールド構造をまとめた規格の名前で、速度を決めるのはケーブルではなく両端の機器です。
この記事の8本にも出ています。伝送帯域2000MHzをうたう参考価格1,800円台のCat8を2.5GbEのハブに挿しても、740円のCat6Aと同じ2.5Gbpsで止まります。ここでは長さを3mに揃えた8本を参考価格の昇順に並べ、カテゴリ・シールド構造・導体・導体サイズ・外径・コネクターの6つで比べます。
目次(9項目)
先に確かめること:つなぐ両端が何Gbpsか
ケーブルは経路の途中にある線なので、両端のポートが2.5Gbps以上でなければ2.5Gbpsにはなりません。PCのLANポートが1Gbpsなら、Cat8のケーブルに替えても1Gbpsのままです。ネットワークはいちばん遅いところが全体の上限になります。
確かめる場所は3か所です。PC本体のLANポート、つなぐ相手であるNASや作業機のポート、そして途中に挟んでいる機器です。NASキットの比較で扱ったとおりNAS側を2.5GbEにしたなら、間の2.5GbEのスイッチングハブとケーブルまで揃って初めて速度が出ます。どれか1つが1Gbpsなら、そこで1Gbpsに落ちます。
上流にも同じ確認が要ります。Wi-Fiルーターの比較で見たとおり、有線ポートが1Gbpsのルーターはまだ多く残っています。そこにCat8を挿しても1Gbpsで止まります。ケーブルを買い替えて速くなるのは、両端がすでに2.5Gbps以上を出せる区間だけです。リンク速度の読み方はこの記事の後半にOSごとにまとめてあります。
カテゴリの数字は「速度」ではなく、伝送帯域とシールドの規格です
カテゴリが決めているのは、そのケーブルが何MHzまでの信号を規定の減衰内で通せるかという伝送帯域と、より対の撚り方・シールドの構造です。Cat6Aは500MHz、Cat7は600MHz、Cat8は2000MHzと決まっています。単位がMHzでbpsではないところが、そのまま速度ではないことを示しています。
速度の側は別の規格が決めています。1000BASE-T、2.5GBASE-T、10GBASE-Tはそれぞれ必要なケーブルの条件を持っていて、機器が対応していない速度はケーブルを替えても出ません。100mを通す前提での対応関係は次のとおりです。
| 通信規格 | 100mを通すのに必要なカテゴリ |
|---|---|
| 1000BASE-T(1Gbps) | Cat5e |
| 2.5GBASE-T(2.5Gbps) | Cat5e |
| 5GBASE-T(5Gbps) | Cat6 |
| 10GBASE-T(10Gbps) | Cat6A |
2行目が誤読の起きやすいところです。IEEE 802.3bzは、すでに壁の中に通っているCat5eやCat6でマルチギガを通すために作られた規格です。2.5Gbpsにするだけなら、いま挿さっている線をそのまま使えることがほとんどです。カテゴリの表を「数字が大きいほど速い」と読むと、要らない買い替えを足すことになります。
条件が変わるのは10GBASE-Tからで、100mを見込むならCat6A以上が要ります。この記事の8本がCat6A以上でそろっているのは、あとから10GbEに上げる余地まで見た上での選び方だからです。2.5Gbpsで足りるなら、そもそも買い替え自体が不要な場合があります。
CAT7・CAT8が家庭で活きない理由
Cat7とCat8は、より対1組ごとにシールドを巻き、さらに全体をシールドで包む構造を前提にした規格です。シールドはノイズを受け止める部品なので、受け止めた電流を逃がす先が要ります。その逃がし先がコネクターと機器側の接地です。
ところが、家庭のルーター・ハブ・PCが持っているのはRJ-45の口だけです。Cat7が本来定めているコネクターはGG45かTERAで、RJ-45ではありません。RJ-45で終端した時点で、規格が想定していた接地の経路は成立しません。シールドは入っているが行き先が無い、という状態になります。
これはこちらの推測ではなく、メーカー自身が製品仕様に書いています。この記事で扱っているエレコム LD-TWST/BM30の公式仕様には、次の断り書きがあります。
Cat7対応はケーブル部のみ。コネクターはRJ-45仕様。
Cat8も事情は同じです。Cat8が想定しているのは25GBASE-Tや40GBASE-Tで、しかも規定されているチャネル長は30mです。家庭にも机の上にも、40Gbpsで受けてくれる相手はまだ普通にはありません。2000MHzという数字は、相手の機器がその速度に対応して初めて意味を持ちます。
それでもCat7・Cat8の製品に用があるとすれば、シールドそのものです。電源ケーブルと一緒に束ねる、分電盤の近くを這わせる、といった配線ではノイズを受けにくくなります。速度のためではなく置き場所のために選ぶ枠だと考えると、位置づけがはっきりします。
スリム・フラットは細い分だけ線が細い、というトレードオフがあります
同じCat6A表記でも、スリムや極細をうたう製品は導体そのものを細くしています。太さはAWGという番号で表され、数字が大きいほど細い線です。この記事の8本では23AWGから32AWGまで開きがあり、いちばん太い線といちばん細い線が同じ「Cat6A・500MHz」を名乗っています。
細くすれば机の裏で取り回しやすくなりますが、導体が細いぶん信号の減衰は増えます。パンドウイット UTP28X3Mは28AWGの細径ケーブルで、直径4.7mmでCat6Aの電気性能を500MHz全域で満たしますが、スペックシートには減衰のディレーティングとしてチャネル長を96mまでとする制限が書かれています。細いことは上位互換ではありません。
値段の向きも直感と逆になります。サンワサプライ KB-SL6A-03BKは直径2.8mmで8本の中でいちばん細く、参考価格は1,500円台です。標準的な太さの24AWGであるエレコム LD-GPAT/BU30は6.5mmで740円です。細さは加工の手間として値段に乗るので、安く済ませたいときにスリムを選ぶ理由はありません。
フラットケーブルも考え方は同じで、平たくするために導体と絶縁体を薄くしています。カーペットの下やドアのすき間を通したいという具体的な理由があるときの道具で、それが無ければ標準的な丸い線のほうが素直です。
並べ直すとこうなります
| 製品名 | カテゴリ/伝送帯域 | シールド | 導体 | 導体サイズ | 外径 | コネクター | 参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| エレコム LD-GPAT/BU30 | Cat6A準拠 / 500MHz | 無し(UTP) | より線 | 24AWG | 6.5mm | スリム・ツメ折れ防止 | 700円台 |
| サンワサプライ KB-T6AY-03BK | Cat6A / 500MHz | 無し(UTP) | より線 | 26AWG | 6.0mm | スリム・ツメ折れ防止 | 1,000円台 |
| サンワサプライ KB-SL6A-03BK | Cat6A / 500MHz | 無し(UTP) | より線 | 32AWG | 2.8mm | スリム・ツメ折れ防止 | 1,500円台 |
| サンワサプライ KB-T6ATS-03BK | Cat6A / 500MHz | 無し(UTP) | 単線 | 23AWG | 7.1mm | ナイロン製ツメ | 1,600円台 |
| エレコム LD-OCTT/BM30 | Cat8準拠 / 2000MHz | 有り(2重フォイル) | より線 | 24AWG | 8.2mm | スリム・ツメ折れ防止 | 1,800円台 |
| エレコム LD-TWST/BM30 | Cat7対応 / 600MHz | 有り(2重フォイル) | より線 | 27AWG | 5.7mm | スリム・ツメ折れ防止 | 2,100円台 |
| パンドウイット UTP28X3M | Cat6A / 500MHz | 無し(UTP) | 単線 | 28AWG | 4.7mm | 高性能モジュラープラグ | 2,200円台 |
| パンドウイット UTP6AX3M | Cat6A / 500MHz | 無し(UTP・外周にフォイルテープ) | 単線 | 24AWG | 6.4mm | ストレインリリーフブーツ | 3,200円台 |
値段の順に読むと、伝送帯域の列は500、500、500、500、2000、600、500、500と上下します。いちばん高い1本の帯域は、いちばん安い1本と同じ500MHzです。値段の差を作っているのは帯域ではなく、導体の太さと単線かより線かの違い、そして作りの素性です。
導体サイズの列も価格と連動していません。740円の1本が24AWGで、1,500円台の1本が32AWGです。外径の列と見比べると、細い線ほど高いという関係のほうがはっきり読めます。
用途から引き当てる
どこを通すかと、どのくらいの距離を引くかで決まります。
| やりたいこと | 優先する仕様 | この記事の該当品 |
|---|---|---|
| 机の裏でPCとハブをつなぐ | 標準的な太さのCat6A | エレコム LD-GPAT/BU30 / サンワサプライ KB-T6AY-03BK |
| 家具のすき間や壁ぎわを通す | 外径の細さ | サンワサプライ KB-SL6A-03BK / パンドウイット UTP28X3M |
| 部屋をまたいで長く引く | 単線と太い導体 | サンワサプライ KB-T6ATS-03BK / パンドウイット UTP6AX3M |
| 何度も抜き差しして持ち歩く | より線とツメ折れ防止 | エレコム LD-GPAT/BU30 / サンワサプライ KB-T6AY-03BK |
| 電源ケーブルと束ねて這わせる | シールドの有無 | エレコム LD-OCTT/BM30 / エレコム LD-TWST/BM30 |
どの行でも、両端の機器が何Gbpsのポートを持っているかは別に確認します。ケーブルの選び方が変わるだけで、速度の上限は動きません。
おすすめのLANケーブル8選
長さを3mに揃えた8本を、参考価格の昇順に並べます。順位は付けていません。値の根拠は上の比較表と同じで、各社の公式製品ページとスペックシートに載っている仕様です。
700円台:24AWGのより線で、速度も値段もいちばん素直
独自採点の規則(5項目・各5点)
楽天のレビューは商品によって件数が1件から数百件までばらつき、件数の少ないものは1人の評価で平均が1点以上動きます。楽天側でレビューが消えると数字も黙って変わるので、順位付けには使っていません。代わりに、下の規則でスペックから機械的に点を出しています。記事に載せている表の値をそのまま当てはめているだけなので、読者が検算できます。総合点は5項目の単純平均です。用途によって効く項目が違うので、総合点だけでなく項目ごとの差を見てください。
- 家庭で活きる規格か
- RJ-45しか持たない家庭の機器ではCat7以上のシールドが活きないため、上位カテゴリを高く採点しません。Cat6A=5 / Cat7=2 / Cat8=2
- 線の太さのゆとり
- 導体サイズ。数字が小さいほど太い線です。24AWG以下=5 / 26AWG=4 / 27AWG=3 / 28AWG=2 / 30AWG以上=1
- 取り回しのしやすさ
- ケーブルの外径。3.5mm未満=5 / 4.5mm未満=4 / 5.5mm未満=3 / 6.5mm未満=2 / それ以上=1
- 長く引く用途への向き
- 導体の構造。単線=5 / より線=3。単線は距離に強く、より線は繰り返し曲げる場所に強いので、点が低いほうが劣るという意味ではありません
- 導入しやすさ
- 長さ3mの参考価格。800円未満=5 / 1,200円未満=4 / 1,800円未満=3 / 2,800円未満=2 / それ以上=1
カテゴリ・導体・導体サイズ・外径は、記事の比較表に載せている値をそのまま使っています。いずれも各社の公式製品ページとスペックシートに出ている仕様です。長さは8本とも3mにそろえてあり、参考価格も3mのものです。ツメ折れ防止プロテクターの有無・十字介在の有無・コネクターの形は、8本ぶんが同じ土俵で揃わないので採点には使わず、本文と商品カードで扱っています。
1,000円台:十字介在入りで、束ねても形がつぶれにくい
1,500円台:直径2.8mm、この8本でいちばん細い
1,600円台:23AWGの単線で、部屋をまたぐ配線に向く
1,800円台:2000MHzのCat8。数字が効くのは機器が対応してから
2,100円台:Cat7表記でも、コネクターはRJ-45
2,200円台:4.7mmの細径単線。チャネル長は96mまで
3,200円台:24AWG単線をフォイルで包んだ業務用のパッチコード
自分のPCが何Gbpsでつながっているかを、OSごとに読む
ここまでの話は全部「両端が何Gbpsか」に戻ります。読み方はOSごとに違うので、3つ並べます。どれもケーブルを買う前に1分で終わります。
Linuxはethtoolです。
# 有線ポートのリンク速度と、そのポートが出せる速度の一覧
ethtool enp3s0 | grep -E "Speed|Supported link modes"
Speed: 1000Mb/sと返るなら、いまのリンクは1Gbpsです。見るべき行はもう1つあって、Supported link modesにはそのポートが出せる速度が全部並びます。ここに2500baseT/Fullが入っていなければ、ケーブルを替えても2.5Gbpsにはなりません。
macOSはnetworksetupでデバイス名を調べてからifconfigで見ます。
# 有線ポートの一覧(enX というデバイス名を控える)
networksetup -listallhardwareports
# そのポートのリンク状態
ifconfig en4 | grep media
手元のMacBookで実際に叩くと、Thunderbolt側の有線ポートが3つ見えました。いまはどれもケーブルを挿していないので、返ってきたのは次の1行です。
media: none
media: noneは「ケーブルが挿さっていないか、リンクが張れていない」という意味です。つながっていればmedia: autoselect (1000baseT <full-duplex>)のようにリンク速度が入るので、括弧の中を読めばそのまま答えになります。GUIから見るなら「システム情報」のネットワーク項目にも同じ値が出ます。
WindowsはPowerShellが速いです。
# 有線アダプターのリンク速度
Get-NetAdapter | Format-Table Name, Status, LinkSpeed
LinkSpeedの列に1 Gbpsと出れば1Gbpsです。GUIなら「ネットワーク接続」でアダプターを右クリックし、状態のダイアログに出る速度を見ます。
読み方が分かると、切り分けの順番も決まります。両端とも2.5Gbpsに対応しているのにリンクが1Gbpsで止まっているときだけ、原因がケーブルや結線に残ります。片方が1Gbpsだと分かった時点で、ケーブルは犯人ではありません。この確認を先に挟むと、Cat8を買ったのに何も変わらなかった、という結果を避けられます。
まとめ:判断の順番
カテゴリの数字から入ると、家では働かないシールドに値段を払うことになります。次の順に決めると絞れます。
- 両端のポートが何Gbpsかを先に読む。1Gbpsのままなら、どのカテゴリを買っても速度は変わりません
- 2.5Gbpsが目的なら、いま挿さっている線で足りることが多い。802.3bzはCat5eで100mまで2.5Gbpsを通すために作られています
- 10GbEまで見るならCat6Aを選ぶ。100mを見込む条件がCat6A以上で、この記事の8本はここに揃えてあります
- Cat7・Cat8は速度のためではなく、シールドが要る配線のために選ぶ。コネクターがRJ-45である以上、規格どおりの接地はできません
- 細さは値段と減衰を払って買うもの。すき間を通す必要が無ければ、標準的な太さの線が素直です
なお、この記事の仕様値は各社の公式製品ページとスペックシートに載っているものです。8本を同じ環境につないで転送速度を実測したものではありません。参考価格は取得した時点のもので、実際の販売価格は変動します。