プログラマー向け電動昇降デスク6選 安い機種は座る高さが変わらない
昇降デスクは「立って作業できるか」で選ばれがちですが、実際に買ってから困るのは立位側ではありません。座位側です。2万円台の機種はどれも最低高が72cm前後から始まります。これは日本の一般的なデスクと同じ高さで、身長173cm未満の人には高すぎます。つまり安い昇降デスクを買うと、立てるようにはなりますが、座ったときの高さは今と変わりません。
そのうえで、2万円台から8万円台までの6台を並べます。価格差が何に払われているのかを、昇降範囲の下限・耐荷重・脚の段数・構成(脚のみか天板込みか)の4点で見ていきます。
目次(11項目)
自分に必要な高さを先に出す
製品を見る前に、必要な数値を出しておくほうが早く決まります。一般社団法人日本オフィス家具協会の式では、適切な座面の高さが身長の1/4、机と座面の差(差尺)が身長の1/6です。足し合わせると、座位で必要な机の高さは身長の約0.42倍になります。
| 身長 | 座位で必要な机の高さ | 最低高72cmの機種 | 最低高58cmの機種 |
|---|---|---|---|
| 155cm | 約64.6cm | 7cm以上高すぎます | 合わせられます |
| 160cm | 約66.7cm | 5cm以上高すぎます | 合わせられます |
| 165cm | 約68.8cm | 3cm以上高すぎます | 合わせられます |
| 170cm | 約70.8cm | 1cm以上高すぎます | 合わせられます |
| 175cm | 約72.9cm | 合わせられます | 合わせられます |
この表の右2列が、この記事で言いたいことのほぼ全部です。最低高72cmの機種を選べる人は身長173cm以上に限られます。日本人の平均身長は男性で171cm前後、女性で158cm前後なので、安い機種の最低高は半分以上の人に合いません。
もうひとつ注意点があります。脚のみで売られている製品の公称値は、たいてい脚部だけの高さです。天板の厚みが2.5cmあれば、実際の机の高さは公称値より2.5cm高くなります。天板込みのセット品と数値を並べるときは、ここを揃えないと比較になりません。
価格差の中身は3つに集約される
6台を並べると、価格の上下で変わるのは次の3点にほぼ集約されます。逆に、メモリー機能と衝突検知は最安機にも付いているので、価格を決める要因になっていません。
| 要素 | 安い側 | 高い側 |
|---|---|---|
| 最低高 | 71〜72cm(身長170cm以上向け) | 58cm(身長140cm台から対応) |
| 耐荷重 | 60〜80kg | 125〜160kg |
| 昇降速度 | 25mm/s | 38〜40mm/s |
最低高が下がる理由は脚の構造です。安い機種の支柱は2段で、縮めたときの長さが支柱1本ぶん残ります。3段(三段ピラミッド構造)にすると同じ伸び幅をより短く畳めるので、下限が下がって上限も伸びます。値段の大半はここに払っています。
2万円台:天板込みで完結するが、下は下がらない
まずは最安帯です。天板付きで2万円台に収まり、メモリー機能も入ります。機能の不足はほとんどありません。
問題は昇降範囲です。72〜117cmなので、下限は普通の机と同じです。身長170cm未満の人がこれを買うと、座位の高さは何も改善しません。立って作業する時間を作りたいだけならこれで足りますが、座り姿勢の改善も目的に入っているなら、この価格帯では達成できません。昇降速度25mm/sは、45cm動かすのに18秒かかる速さです。1日に何度も往復するなら気になります。
2万円前後:脚だけ買っても範囲は変わらない
天板を自分で用意すれば脚だけを安く買えます。ただし脚を単体で買うことと、昇降範囲が広がることは別の話です。
この製品の昇降範囲は72〜118cmで、セット品と同じ枠に収まっています。しかもこれは脚部のみの高さなので、天板を2.5cm載せると74.5cmになります。身長換算では179cm以上向けです。天板を自分で選べる自由と引き換えに、下限はむしろ悪化します。C字型なので脚が前方にしか回り込まず、椅子を深く入れやすい形ではあります。
6万円台の国内メーカー:範囲は最安帯と同じ
値段が上がれば範囲も広がる、とはなりません。国内メーカーの機種を見ると分かります。
昇降範囲は71〜117cmで、2万円台のセット品と1cmしか違いません。それでいて実売はFLEXISPOT E7の脚より高くなることがあります。払っているのは昇降範囲ではなく、天板一体で届くことと国内メーカーの流通です。組み立てを最小限にしたい、量販店の店頭で見て決めたい、という条件なら意味がありますが、範囲を求めて上位価格帯を選ぶと空振りします。
幅は1000mm版と1200mm版で最高高が違います(1000mm版は110cm、1200mm版は117cm)。同じ型番名でも数値が変わるので、買うときは幅まで見る必要があります。
5万円台:ここで下が13cm伸びる
価格の境目はここです。脚が三段構造になり、最低高が一気に下がります。
58〜123cmという範囲は、天板2.5cmを足しても60.5cmから使えます。身長145cm前後から合わせられるので、体格を理由に諦める必要がなくなります。耐荷重125kgと昇降速度38mm/sも上位帯の水準です。2万円台との差額3万円ほどは、ほぼこの「下に13cm」に払っています。
脚だけで32.3kgあるので、組み立ては2人でやるほうが安全です。公式店では脚のみと天板セットが別に売られていて、天板を付けると7万円台からになります。総額で比べるときは構成を揃えてください。
6万円台:上が伸びる代わりに下が戻る
ここが一番間違えやすいところです。上位機種のほうが最低高が高い場合があります。
E7Hの昇降範囲は63.5〜128.5cmです。E7と比べると上に5.5cm伸びた代わりに、下も5.5cm上がっています。耐荷重160kg、昇降速度40mm/s、脚幅190cmまでという数値はすべてE7を上回りますが、座位を低くしたい人にとっては後退です。身長180cm台で立位の高さが足りなかった人には効きますし、そうでなければE7のほうが合います。値段の順に並べて上から選ぶと外す典型例です。
8万円台:天板を選ばずに済ませる
最後は上限側です。脚の実力はE7と同じで、差額は天板側にあります。
昇降範囲60〜125cmで、竹の一枚板天板が最初から付きます。脚は三段ピラミッド構造・耐荷重125kgとE7と同じ土台なので、差額は天板の素材と「天板を選ばなくて済むこと」に払う形になります。天板を自分で調達すると、サイズの決定・購入・穴あけ・運搬が発生します。その手間を4万円弱で買うかどうかという判断です。
立位側の高さはどう決めるか
ここまで座位の話をしてきましたが、立位側も一度は測るべきです。ただし計算式より実測が確実です。立って肘を90度に曲げたときの手の高さが基準になり、Bauhütteは書き仕事の基準よりキーボード作業では5cm低くすることを勧めています。
今回の6台はいずれも最高117cm以上まで上がるので、日本人の身長では上限が足りなくなる場面はほとんどありません。上は最初から足りていて、足りないのは下だけです。カタログで「最大128.5cm」を売りにしている機種があっても、それが自分に効く数値かどうかは別に考える必要があります。
Vimを使うなら立位のほうが向いている
立ち姿勢では手首を置く場所が安定しないので、マウスの細かい操作は座っているときより辛くなります。キーボードだけで編集が完結する編集環境は、その意味で立位と相性がよくなります。立っている時間はキーボード中心の作業に、座っている時間はポインタが必要な作業に振り分けると、昇降の往復に理由ができます。ポインタ側を短い移動で済ませたい場合はVimmer向けトラックボール比較のほうが効きます。
まとめ:迷ったときの判断順
価格から選ぶと外します。次の順に決めると絞れます。
- 座位に必要な高さは何cmか。身長×0.42で出します。72cm未満なら、2〜3万円台は候補から外れます
- 脚のみか天板込みか。脚のみを選ぶなら、公称値に天板の厚みを足して計算します
- 立位で128cm級が必要か。必要ないなら、最低高の低いほうを選びます
- 載せる重量は何kgか。モニター2枚とデスクトップなら、80kgでは余裕がありません
「昇降デスクを買ったのに座り心地が変わらない」という結果は、最低高を見ずに買ったときに起きます。逆に言えば、最低高だけ確認しておけば大きな失敗はしません。
デスクの上に載せるものはプログラマー向けモニター6選とプログラマー向けキーボード比較にまとめています。