Vimmer向けトラックボール5選 どの指でボールを回すかで選ぶ
Vimを使っているとマウスに触る回数は減ります。ただ完全にゼロにはなりません。ブラウザで調べ物をする、GUIのツールを操作する、といった場面ではポインタが必要です。つまり「使用頻度は低いが、使うときにホームポジションから遠いと困る」という条件になります。
この条件はトラックボールの得意分野です。本体を動かさずボールだけを回すので、置く場所がキーボードのすぐ横で足り、腕を動かす必要がありません。頻度が低いからこそ、手を戻すまでの距離が短いほうが効きます。
目次(9項目)
選ぶ基準は「どの指でボールを回すか」
解像度やボタン数より先に決まるのがこれです。操作する指が変わると持ち方そのものが変わるので、慣れの問題ではなく体の作りとの相性になります。
| 操作方式 | ボール径 | 向いている人 | この記事の該当機 |
|---|---|---|---|
| 親指 | 34〜36mm | 設置面積を小さくしたい/マウスからの移行を最短にしたい | IST / ERGO M575SP / MX ERGO S |
| 人差し指・中指 | 52mm | 親指の付け根が痛くなった/ボタンを多く使いたい | HUGE |
| 手のひら | 55mm | 左手でも同じ操作感で使いたい/細かい位置決めをしたい | Expert Mouse |
親指式が最も数が多く、マウスの持ち方に近いので移行の敷居が低くなっています。一方で長時間使うと親指の付け根に負担が集まるため、そこで痛みが出た人が人差し指式や手のひら式へ移る、という流れが一般的です。最初から高い機種を買うより、親指式の安いもので自分に合うか確かめるほうが失敗しません。
4千円台:合うかどうかを確かめる
トラックボールは持ち方が変わる道具なので、合わない可能性が実際にあります。数日使えば判断はつくので、まず安いもので試すのが確実です。
独自採点の規則(5項目・各5点)
楽天のレビューは商品によって件数が1件から数百件までばらつき、件数の少ないものは1人の評価で平均が1点以上動きます。楽天側でレビューが消えると数字も黙って変わるので、順位付けには使っていません。代わりに、下の規則でスペックから機械的に点を出しています。記事に載せている表の値をそのまま当てはめているだけなので、読者が検算できます。総合点は5項目の単純平均です。用途によって効く項目が違うので、総合点だけでなく項目ごとの差を見てください。
- 導入しやすさ
- 参考価格。5千円未満=5 / 8千円未満=4 / 1万1千円未満=3 / 1万4千円未満=2 / それ以上=1
- 長時間の負担の少なさ
- 回す指が親指=2、人差し指・中指または手のひら=4。傾斜を変えられれば+1、パームレストが一体なら+1(上限5)
- ボタンの拡張性
- ボタン数が4以下=2 / 5=3 / 6〜7=4 / 8以上=5。スクロールリングのような追加の入力機構があれば+1(上限5)
- 接続の自由度
- USBレシーバーのみ=2 / BluetoothとUSBの両対応=4 / さらに本体側で複数台を切り替えられる=5
- 省スペース性
- ボール径が34mm以下=5 / 50mm台前半=2 / 55mm以上=1(実測の設置面積を持っていないので、ボール径で代用する)
ボタン数のうち Expert Mouse と MX ERGO S は公式スペックによります。設置面積は実測していないため、ボール径で代用しています。
支持球に人工ルビーを使っていて、この価格帯としてはボールの動きが軽くなっています。削られているのは接続方式とボタン数です。Bluetoothに対応しないのでUSBポートを1つ使いますし、ボタンは5つなので割り当てたい操作が多いと足りなくなります。
6千円台:定番から入る
「トラックボールを買う」と決まっているなら、ここが基準になります。入手性が高く、情報も多いので困ったときに調べられます。
34mmのボールを親指で回す形で、BluetoothとUSBレシーバーの両方に対応します。電池1本で最長2年ほど動くので、充電を意識せずに使えます。傾斜の角度は固定なので、手首の角度を変えたい場合は上位機の領域になります。
9千円台:親指をやめる
親指の付け根に痛みが出た場合、同じ方式の別機種に買い替えても解決しません。回す指を変えるのが対処になります。
52mmの大玉を人差し指と中指で回すので、親指は本体を支えるだけになります。低反発のパームレストが一体化していて、手首を置いたまま操作できます。8ボタンあるので、ブラウザの進む・戻るや、Vimの外で使うショートカットを割り当てても余裕があります。設置面積は大きいので、デスクの奥行きは確認しておくほうが安全です。
1万2千円台:手のひらで回す
左右対称の形状は、左手で使う選択肢が生まれる点で他と性質が違います。右手をキーボードに残したまま左手でポインタを動かす、という配置も取れます。
55mmのボールを手のひらで回す方式で、指ではなく腕全体の小さな動きで操作します。ボールが大きいぶん慣性が乗るので、画面を大きく横断する動きが軽くなります。リング状のスクロールホイールが本体を囲んでいて、ページ送りを指先で回せます。設置面積はこの5台で最大です。
1万6千円台:手首の角度を変える
最後は価格の上限側です。ボール径は34mmで入門機と同じなので、差が出るのは本体の作りになります。
本体を0°と20°に傾けられるのがこの機種だけの特徴です。20°にすると手のひらが立つので、手首をひねった状態を保たずに済みます。1日中触る人ほど、この差が積み上がります。2台のPCを切り替えて使える機能もあり、仕事用と個人用を行き来する構成にも合います。
ボールと支持球はあとから変えられる
ここまで価格帯で並べましたが、ボールの転がり心地だけは値段と直結しません。ボールを受けている支持球の材質で決まる部分が大きく、ここは自分で交換できるためです。
親指式で使われる34mmは社外品のボールが多く出回っていて、入門機のボールを別のものに替えるだけで印象が変わります。支持球を人工ルビーやセラミックのものに交換すると、摩擦が減って軽く転がるようになります。数百円から千円台の部品で、上位機との差が縮まる部分です。
逆に言うと、「転がりが重い」という理由だけで上位機に買い替えるのは早いということです。まず掃除をして、それでも重ければ支持球を替える、という順番のほうが安く済みます。ボールの表面に皮脂が乗ると目に見えて重くなるので、月に一度ボールを外して拭くだけでも戻ります。
ボール径が大きい機種(52mmや55mm)は社外品の選択肢が少なくなります。この点では、部品で調整する余地があるのは親指式のほうです。
無線だけで足りるか
キーボードと違い、トラックボールは起動前の画面で使う場面がほとんどありません。そのため無線専用でも困る場面は少ないのですが、1つだけ確かめておくとよいのがUSBレシーバーとBluetoothのどちらに対応しているかです。
USB切替器で複数のPCを行き来する構成では、レシーバーを切替器側に挿せば物理的に切り替わります。Bluetoothだけの機種はペアリングし直すか、機種側の切り替えボタンに頼ることになります。2台以上を行き来する予定があるなら、この点は買う前に見ておいてください。
まとめ:判断の順番
価格から選ぶと迷います。次の順に決めると絞れます。
- トラックボールが自分に合うか確かめたい段階か。そうなら4千円台の親指式で試すのが確実です
- 親指に痛みが出ているか。出ているなら人差し指式か手のひら式に変えます。同じ方式で買い替えても解決しません
- 左手でも使いたいか。必要なら左右対称の手のひら式になります
- 1日中触るか。触るなら傾斜を変えられる機種の価値が出ます
Vimを使っている前提でいうと、キーボードから手を離す回数自体はキーマッピングを整えるほうが減ります。トラックボールは「離したあとの移動距離」を短くする道具なので、両方を別の問題として考えるほうが選びやすくなります。キーボード側はプログラマー向けキーボード比較、Ctrlキーの位置を含めた設定の話はVimmerがキーボード選びで重視すべきポイントにまとめています。