プログラマー向けモニター6選 値段で何が変わるのか
モニター選びで最初に壊しておきたい思い込みがあります。4Kを買っても作業領域は増えません。27インチの4Kを等倍で表示すると文字が小さすぎて実用にならないため、多くの人は125〜150%のスケーリングをかけて使います。150%にすれば論理解像度はWQHD相当に戻るので、増えるのは文字の精細さだけです。
そのうえで、3万円台から12万円台までの6台を並べます。価格差が何に払われているのかを、解像度・スケーリング・USB-C給電・保証の4点で見ていきます。
目次(9項目)
まず決めるのは「何を増やしたいか」
解像度の数字を比べる前に、増やしたいものを決めるほうが早く決まります。目的ごとに答えが変わります。
| 増やしたいもの | 選ぶべき方向 | この記事の該当機 |
|---|---|---|
| 文字の精細さ | 27インチ4K。スケーリング前提 | BenQ PD2705U / EIZO EV2740X |
| 横に並べる幅 | 34インチウルトラワイド | iiyama XUB3493WQSU-B6 |
| 縦の行数 | 16:10、または縦回転できる機種 | EIZO EV2495 / iiyama XUB2792QSU-B6 |
| 等倍で使える広さ | 27インチWQHD | iiyama XUB2792QSU-B6 |
| 機能あたりの安さ | 28インチ4K + USB-C + KVM | JAPANNEXT JN-i28U-C6 |
Vimを使うなら、この判断はウインドウ分割の癖と直結します。垂直分割(:vsplit)は横幅を食うので、横に広い機種ほど並べられる数が増えます。水平分割(:split)は縦を食うので、縦の解像度が効きます。自分がどちらを多用しているかは、ウインドウを分割して開くで使っているコマンドを思い出すと分かります。
価格差の中身は4つに集約される
6台を並べると、価格の上下で変わるのは次の4点にほぼ集約されます。解像度は最安機でも4Kなので、価格を決める要因になっていません。
| 要素 | 安い側 | 高い側 |
|---|---|---|
| USB-C給電 | 65W(ノートPC1台なら足りる) | 94W(高消費のノートPCでも余裕) |
| スタンド | 高さ調整なし | 昇降195mm・縦回転90° |
| 保証 | 2年 | 5年(期間中の代替機貸出あり) |
| 付加機能 | KVM | 有線LAN内蔵・デイジーチェーン |
3万円台:機能だけなら足りてしまう
先に結論を書くと、USB-C 1本接続とKVMが目的なら3万円台で足ります。KVMは1組のキーボードとマウスを2台のPCで共有する機能で、会社用のノートPCと個人のデスクトップを行き来する人には効きます。この機能は7〜8万円台の機種の売りでもありますが、価格差の理由にはなりません。
削られているのはスタンドと保証です。高さ調整ができないので、目線を合わせるにはVESAマウントでアームに載せ替えることになります。アームの実売が5,000〜15,000円ほどなので、そこまで足すと4万円台の機種と並びます。アームを別途買う前提なら、この機種を選ぶ意味は薄くなります。
4万円台:スケーリングから逃げる選択
4Kのスケーリングを避けたいなら、解像度を下げるのが確実です。27インチのWQHDは等倍のまま実用になるので、表示倍率の設定に悩む場面がなくなります。等倍で不具合が出る古いアプリを使っている場合にも、この選択が効きます。
この機種は90°のピボットに対応しているので、本体を縦に回して縦置きにできます。縦にすると1440×2560になり、横幅は狭くなるかわりに縦の行数が大幅に増えます。ログを追う、長いファイルを読む、水平分割を重ねる、といった作業では4Kの精細さより効きます。USB-C給電には対応していないので、ノートPCの電源は別に取る必要があります。
5万円台:横に並べることに特化する
3440×1440の横幅があると、80桁のエディタを3つ並べても余裕があります。垂直分割を多用する人にとっては、27インチを2枚並べるよりベゼルがないぶん扱いやすくなります。
ただし縦は1440pxで、27インチWQHDと変わりません。34インチという数字から縦も広くなる印象を受けますが、増えているのは横だけです。パネルの縦寸法は約330mmで27インチとほぼ同じなので、水平分割で縦を稼ぎたい目的にはまったく向きません。USB-C端子はありますが7.5Wでデータ用なので、ノートPCへの給電はできません。
6万円台:縦の行数とドックを兼ねる
16:10のアスペクト比は、コードを読む用途では素直に効きます。1920×1200なので、同じ横幅の1920×1080より縦が120px多く、行数がそのぶん増えます。
この機種の性格はモニターというよりドックです。USB-C 1本で70Wの給電、映像、USBハブ、有線LANまで通ります。ノートPCを持ち帰る運用なら、ケーブル1本を抜き差しするだけで済みます。デイジーチェーンに対応しているので、2台目を数珠つなぎにする構成も取れます。解像度はWUXGAなので、文字の精細さを求める用途には向きません。
7万円台:表示品質に払う
ここから上は、機能ではなく表示そのものに払う価格帯になります。sRGBとRec.709を99%カバーしているので、色を扱う作業でも基準として使えます。
KVMとUSB-C 65W給電は3万円台の機種と重なるので、差額の4万円は色域と表示品質、そしてスタンドに払っていることになります。レビューでは27インチ4Kの中でも重量が重いという指摘が目立つので、アームに載せる場合は耐荷重を確認しておくほうが安全です。
12万円台:給電量と保証に払う
最後は価格の上限側です。解像度は7万円台と同じ27インチ4Kなので、差が出るのは周辺の作り込みだけになります。
USB-C給電が94Wまで上がるので、消費電力の大きいノートPCでも電源アダプタを併用せずに済みます。昇降195mm・縦回転90°の調整幅と、5年(または使用30,000時間)の保証、期間中の代替機貸出が価格に含まれます。業務で止まると困る環境で、故障時の空白を作りたくない場合に意味を持つ構成です。個人で使うぶんには過剰になりがちです。
まとめ:迷ったときの判断順
解像度から選ぶと迷います。次の順に決めると絞れます。
- ノートPCをUSB-C 1本で繋ぎたいか。必要なら給電対応機に絞られ、iiyamaの2機種は外れます
- 増やしたいのは横か縦か。横ならウルトラワイド、縦なら16:10か縦回転できる機種です
- スケーリングを許容できるか。できないならWQHD、できるなら4Kです
- 故障時に止まると困るか。困るなら保証の長い機種に価値が出ます
4Kにすれば作業領域が広がるという前提で選ぶと、150%スケーリングの画面を見て「思ったより狭い」となります。増やしたいものを先に決めてから解像度を選ぶ順番にすると、この失敗を避けられます。
キーボード側の選び方はプログラマー向けキーボード比較にまとめています。