この記事では、Vim / neovim でプラグインを使わずに「ソート(並べ替え)を行う」ためのコマンドについて、様々なバリエーションをご紹介します。
[解答] :sort u
Vim のソート機能のバリエーションは、けっこう豊富です。その中でも、直感的に使えそうなものをご紹介します。
Vimソート1. 重複排除しながら並べ替える
(ノーマルモード) :sort u
これで全行ソートしながら、重複した行は排除してくれます。ソートは行頭文字から昇順です。逆順にするなら次のように ! を付与します。
(ノーマルモード) :sort! u
これらを実行すると、次のようになります。
Vimソート2. 昇順または降順に並べ替える
(ノーマルモード) :sort
これで全行にたいして、行頭からの文字列で昇順でソートします。降順にするのはこちら。
(ノーマルモード) :sort!
Vimソート3. 範囲を指定して並べ替える
ファイル(バッファ)全体ではなく範囲を指定して実行することもできます。これはビジュアルモードとの組み合わせになります。
(ビジュアルモードで対象とする行を選択してから) :sort (昇順) :sort! (降順)
これは Vimソート1 で紹介した重複排除でも同じです。
(ビジュアルモードで対象とする行を選択してから) :sort u (昇順) :sort! u (降順)
Vimソート4. 番号順に並べ替える
番号順に並べ替えることも可能です。
(ノーマルモード または ビジュアルモードで範囲指定してから) :sort n (昇順) :sort! n (降順)
通常の昇順と同じ結果になりそうなものですが、2桁の数字をキチンと判断できるのが違いとなります。次の動画を見ると明らかです。
ちなみに、この :sort n / :sort! n は各行の最初の数値(を示す文字列)を並べ替えの対象とします。次の動画を見ると明らかです。
Vimソート5. CSVファイルを並べ替える
かなり複雑な正規表現を組めば、CSVファイルのカラムを指定して並べ替えることもできます。
簡単な例がヘルプに掲載されています。
例えば、コンマで区切られた2番目のフィールドでソートするには:
change – Vim日本語ドキュメント
:sort /[^,]*,/
これを別のカラムで使おうとすると、あまりにも複雑過ぎて自力でパターンを作るには至れず、こちらの記事を参考にさせてもらいました。
この記事を参考に、6列目を元に並べ替えるには次のコマンドを実行します。
:sort /\([^,]*,\)\{2\}\zs[^,]*/ r
ここまでして、CSVデータを Vim で並べ替える機会があるかというと悩ましいところです。第2、第3 の並べ替え優先度を指定することもできませんし…
Vimソート6. 該当する箇所で並べ替える
正規表現のパターンに該当する箇所を基準にして、並べ替えを行います。
:sort /{正規表現パターン}/ r
例えば、電話番号の真ん中の数字の文字列で並べ替える場合は、次のように実行します。
:sort! /-\d\d\d\d-/ r あるいは :sort! /-\d{4}-/ r
Vimソート7. 小数点数 / 2進数 / 8進数 / 16進数 で並べ替える
Vim 標準で、様々な種類の数値として捉えた並べ替えることができます。
並べ替え対象 | 昇順 | 降順 |
---|---|---|
小数点数(Float) | :sort f | :sort! f |
2進数 (Binary) | :sort b | :sort! b |
8進数 (Octal) | :sort o | :sort! o |
16進数 (heXadecimal) | :sort x | :sort! x |
例えば、次のように先頭に数値を表す文字列がある場合の並べ替えです。
ヘルプ曰く、”行の({pattern}のマッチの後ろまたは内側の) 最初のテキスト”が対象となります。つまり、何もしていなければ行頭、ビジュアルモードなら選択した先頭のテキストとなります。
使う機会がある方が稀じゃないのかな?と思いますが、機能としてはキチンと搭載されています。
補足
使う場面が少なそうに感じますが、けっこうあります。
プログラミングの際、変数定義を昇順に並べ替えたり、Python の import文の並べ替えなど、個人的には範囲指定して並べ替えたいケースなど様々。
1〜2行なら必要ないですが、5行以上になると劇的に作業速度が変わります。
正規表現が絡むとかなり難しくなってしまいますが、ぜひ覚えて編集速度をアップさせましょう。
このVimコマンドの補足情報
- 利用頻度
- 便利さ
- 覚え易さ
関連するVimヘルプ
Vim のヘルプでは下記のように解説されています。
7. テキストのソート sorting
Vimはソート関数とソートコマンドを備えている。ソート関数については sort()、
uniq() を参照。:sor :sort
:[range]sor[t][!] [b][f][i][n][o][r][u][x] [/{pattern}/]
[range]の行をソートする。範囲が指定されない場合は全行
をソートする。[!]をつけると順序が逆になる。
[i]をつけると大文字・小文字を区別しない。[n][f][x][o][b] オプションはどれかひとつのみ指定できる。
[n]をつけると行の({pattern}のマッチの後ろまたは内側
の)最初の10進数の数字でソートする。
数字が ‘-‘ で始まる場合、マイナスとみなされる。[f] をつけると行の小数点数でソートする。
小数点数の値は ({pattern} によるマッチの後ろまたは内側
の) テキストを str2float() に渡すようにして決定される。
このオプションは Vim が小数点数サポートを有効にしてコ
ンパイルされたときのみ使える。[x]をつけると行の({pattern}のマッチの後ろまたは内側の)
最初の16進数の数字でソートする。”0x” と “0X” は無視さ
れる。
数字が ‘-‘ で始まる場合、マイナスとみなされる。[o]をつけると行の({pattern}のマッチの後ろまたは内側の)
最初の8進数の数字でソートする。[b] をつけると({pattern}によるマッチの後ろまたは内側の)
行の最初の2進数でソートする。[u]をつけると (u は unique=「一意の」という意味に基づ
く) 連続する同一行の最初の行だけを残す。([i]がつくと大
文字・小文字を無視する) このフラグがつかない場合、連続
する同一行はそのままの順序で残される。
Note: 先頭と末尾の空白が原因で異なる行にみなされるかも
しれない。/pattern/が指定され、フラグ[r]がない場合は{pattern}に
マッチするテキストはスキップされる。これによって、その
マッチの後に来るテキストでソートできる。
スラッシュの代わりにどんなnon-letterでも使うことができ
る。
例えば、コンマで区切られた2番目のフィールドでソートす
るには:
:sort /[^,]*,/ 画面上の10桁目でソートするには(そのためタブとスペース
は同一視される):
:sort /.*\%10v/ 行中の最初の数字でソートするには:
:sort /.\{-}\ze\d/ (解説: “.\{-}” は任意のテキストにマッチする。”\ze”
はそのマッチの終わりをセットし、”\d” は数字にマッチ
する。)
[r]がつくと、前述のように{pattern}をスキップするのでな
く、{pattern}にマッチする部分でソートする。
例えば、各行の最初の3文字だけでソートするには:
:sort /\a\a\a/ r
{pattern}が使われると{pattern}を含まない行は現在の順序
のままになる。逆順でソートすると、それらはソートされた
行の後で逆順になる。逆順でなければ、ソートされた行の前
でもとの順序のまま置かれる。{pattern} が空である場合(例: // が指定されたとき)、
最後に使われた検索パターンが使われる。よって、まず検
索コマンドでパターンを確かめてみることができる。Note: :global といっしょに :sort を使ってもマッチする行をソートすることに
はならない。これはまったく無意味である。ソートの詳細は使っているライブラリ関数による。ソートが現在のロケールに従うとい
う保証はない。それを調べるには実行してみるしかない。ソートは「安定」ソートであ
る。ソートは中断することができる。しかし中断するのが遅いと行が重複してしまうかもし
れない。これも使っているシステムのライブラリ関数による。vim:tw=78:ts=8:noet:ft=help:norl:
change – Vim日本語ドキュメント
こちらは、Vim上では下記のコマンドでヘルプを確認できます。
:help sorting :help sort :help sor
ヘルプで検索するときは、通常は大文字小文字は識別されませんので、どちらでも構いません。
参考書籍
こちらの書籍が参考になります。
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