なぜVimmerはVimを使い続けるのか
高機能なIDEやAIアシスタント付きエディタが当たり前になった今でも、Vimを選び続ける人がいます。「なんで今どき黒い画面で編集してるの」と聞かれたとき、うまく説明できずに困った経験があるVimmerは多いはずです。ここでは、その理由を整理してみます。
目次(8項目)
1. モード切り替えによる操作の圧縮
ノーマルモードとインサートモードを切り替えながら編集するVimの操作体系は、最初はとっつきにくく感じます。しかし慣れると、1〜2文字のキー操作で「削除して差し替える」「単語単位で移動する」といった複合的な編集が完結します。マウスに手を伸ばす動作や、Shift+矢印キーでの範囲選択のような複数キーの同時押しがほとんど不要になります。
2. ホームポジションを崩さない設計
hjklによる移動は、最初は矢印キーのほうが直感的に感じる人が多いです。しかし、キーボードのホームポジションから指を動かさずに済むという設計は、長時間のコーディングで確実に効いてきます。マウスと文字入力を行き来する動作が減るほど、思考が途切れにくくなります。
3. サーバー上でも同じ操作感を維持できる
VimはUnix系OSに標準搭載されていることが多く、SSHでログインしたサーバー上でも、普段使っている設定やキー操作をそのまま持ち込めます。GUIのIDEが使えない環境でも編集速度が落ちないというのは、インフラ・サーバー管理に関わる人にとって大きな価値になります。VPS+SSHでどこでも同じ環境を使うという運用も、この特性を活かしたものです。
4. カスタマイズ性と拡張性
設定ファイル1つで動作を細かく制御でき、プラグインエコシステムも活発に更新され続けています。kickstart.nvimやLazyVimのような配布設定から始めれば、ゼロから作らなくても自分好みの環境に育てていけます。この「自分だけの道具に育てる」感覚が、他のエディタにはない愛着を生んでいる面もあります。
5. 少数派であること自体が理由になることもある
VS Codeのような主流エディタと比べれば、Vimユーザーは今も少数派です。しかし、その独特な操作体系を使いこなせること自体が、一種のスキルとして機能する場面もあります。周囲と違う道具を選ぶことへの抵抗が少ない人ほど、Vimの学習コストを乗り越えやすい傾向があります。
Vimが向いていない場面もある
公平に言えば、GUI操作前提のビジュアルなツールや、チーム全体でのペアプログラミング・画面共有が中心の作業では、Vimの操作体系が必ずしも有利に働くわけではありません。万能の道具ではなく、テキスト編集の速度と汎用性を最優先したいときに強みが出る道具、と捉えるのが正確でしょう。
周囲にVimmerがほとんどいない環境で長く使っていると、「なぜ使うのか」を聞かれる機会は今でも多くあります。自分の中では「サーバーでもローカルでも同じ操作感で作業できること」が一番の理由だと、最近はっきり言えるようになりました。最初の数週間はキー操作を覚えるのに苦労しましたが、その投資は年単位で使い続けるほど回収できていると感じています。
まとめ
Vimmerが今もVimを使う理由は、操作の速さ、ホームポジションを崩さない設計、環境を選ばず同じ操作感を再現できる汎用性、そして自分好みに育てられるカスタマイズ性に集約されます。万能ではありませんが、これらが刺さる作業スタイルの人にとっては、他のエディタに乗り換える理由が見つからないほどの道具になります。