プログラマー向け縦型マウス6選 角度より手の大きさで決まる
縦型マウスの紹介はたいてい「57度で手首がラクになる」で終わります。ところがこの数字を公表しているのはロジクールくらいで、3千円台の製品は角度を書いていないことのほうが多い。そして同じ57度のLIFTとMX Verticalは、まったく別の相手に向けて作られています。違うのはサイズです。
もうひとつ、購入前に読んでおくべき注記があります。安い機種のいくつかは、サイドの戻る・進むボタンがmacOSでは使えないとメーカー自身が書いています。角度の数字ではなく、この2点から6台を見ていきます。
目次(12項目)
57度という数字は比較の役に立たない
まず角度の話を片付けます。ロジクールはLIFTとMX Verticalの両方を57度と説明しています。上位機と下位機で角度は同じです。つまり、角度を根拠に高いほうを選ぶ理由がありません。
他社に目を向けると、そもそも数値を出していない製品が多くなります。サンワサプライは「自然な角度でにぎることができる」と書くだけで度数を明記していませんし、Perixxも同様です。トラックボール型では62度をうたう製品もあります。各社が同じ基準で測って公表しているわけではないので、数字を並べても比較になりません。
角度そのものが無意味なのではなく、選ぶときの物差しとして機能しない、という話です。前腕をひねらない姿勢という狙いは各社共通で、そこに差はほとんどありません。
実際に効くのは手の大きさ
差が出るのは寸法です。同じ57度でも、握ったときに指が余るか届かないかで疲れ方が変わります。
| 機種 | 寸法 | 想定する手 |
|---|---|---|
| Perixx PERIMICE-719 | 105×67×58mm | 小さめ |
| ロジクール LIFT | 70×108×71mm | 小〜中 |
| ロジクール MX Vertical | 79×120×78.5mm | 中〜大 |
LIFTとMX Verticalは各辺でおよそ10mm違います。数字にすると小さく見えますが、握りの深さが変わるので体感の差は大きくなります。ロジクール自身もLIFTを小〜中サイズの手向けと位置づけていて、MX Verticalの小型版という売り方はしていません。
ただし手の大きさから機械的に決まるわけでもありません。PC Watchのレビューでは、平均より手が大きい書き手が、MX VerticalよりLIFTのほうが自然に使えて疲れにくかったと書いています。握り方の癖で結論が変わる部分が残るので、返品できる経路で買っておくと安全です。
Macで使うなら注記を先に読む
ここが価格帯で最もはっきり分かれます。安い機種のサイドボタンは、macOSでは動かないことがあります。推測ではなく、メーカーが製品ページに書いています。
| 機種 | Macでの戻る・進む | 設定ソフト |
|---|---|---|
| Perixx PERIMICE-719 | 使えません | ソフトなし |
| サンワサプライ MA-ERGWK10 | 使えません | Windowsのみ |
| エレコム EX-G PRO | 使えます | Windows / Mac |
| ロジクール 3機種 | 使えます | Windows / Mac |
サンワサプライは戻る・進むボタンについて「Apple Macシリーズではご使用できません」と注記し、設定ソフトのMouse_UtilityもWindowsのみと明記しています。Perixxも対応OSの欄に、macOSでは進む・戻るボタンを使えないと書いています。
ブラウザの戻る程度なら諦めもつきますが、サイドボタンにEscやCtrlを割り当てて使いたい場合、この2機種はMacでは選択肢になりません。割り当てを変える手段そのものが無いためです。
手が小さいなら、まずここで試せる
縦型が自分に合うかどうかは、使ってみるまで分かりません。3千円前後で試せる機種があります。
105×67×58mmと小ぶりで、手の小さい人が上位機を握ったときの「指が届かない」を回避できます。ドライバーが要らないので、挿してすぐ姿勢だけ確かめられます。
制約は前述のとおりで、macOSでは戻る・進むが効かず、割り当てを変えるソフトもありません。Windowsで使うか、あるいは縦型が合うかどうかの検証用と割り切る使い方になります。
手が大きいなら、同じ価格帯でこちら
同じ3千円台でも、大きめの手を想定した形状があります。
上から手を乗せるのではなく横から手を添える設計で、手首のひねりを減らす狙いは縦型と同じです。全ボタンが静音スイッチなので、Web会議中に音を立てません。カウント切り替えも付いています。
こちらもMacでは戻る・進むが使えず、設定ソフトはWindows専用です。国内メーカーのサポートが必要で、かつWindowsで使うなら、この価格帯では手堅い選択になります。
縦型でなくてよいなら、条件を満たす機種が下の価格帯にある
ここでいったん縦型から離れます。サイズを選べて、Macでも割り当てを変えられる、という条件だけで探すと、縦型より安く見つかります。
S・M・L・XLの4サイズ展開なので、手の大きさに合わせて選べます。設定ソフトのマウスアシスタント6はWindowsとMacの両方に対応していて、8つあるボタンの割り当てを変えられます。2025年1月に8年ぶりのフルリニューアルが入った世代です。
縦型ではないため、前腕のねじれは縦型ほど減りません。手首の角度を変えたいのか、ボタンを自由に使いたいのか、目的のほうを先に決めると迷わなくなります。後者だけが目的なら、縦型にこだわる必要はありません。
57度で、小〜中サイズの手に合わせた一台
縦型で割り当ても変えたい場合、選択肢はロジクールの2機種に絞られます。まず小さいほうです。
70×108×71mmで、小〜中サイズの手に向けて設計されています。Logi Options+がWindowsとMacの両方に対応しているので、サイドボタンに任意のキーを割り当てられます。アプリごとに割り当てを変えるプリセットも作れます。
電池込みで129gあるので、軽さを求める人には向きません。縦型は持ち上げて置き直す動作が少ないため、重さの影響は横型ほど出ませんが、手首を浮かせて使う癖がある場合は気になります。
同じ57度で、違うのはサイズと価格
上位機です。角度は同じなので、差は手の大きさに払うことになります。
79×120×78.5mmと、LIFTより各辺でおよそ10mm大きくなります。手が大きい人にとっては、これでようやく指が余らずに収まります。USB-C充電なので電池交換もありません。
価格はLIFTのおよそ1.7倍です。手が小さい人がこれを選ぶと、高い金額を払って合わないものを買うことになります。上位機だから良いという順序が成立しない、この記事でいちばん分かりやすい例です。
縦型が合わなかったときの行き先
縦型は誰にでも合うわけではありません。合わなかった場合に戻る先も決めておくと、試しやすくなります。
縦型ではない傾斜形状で、手首のひねりは残りますが、Logi Options+による割り当ての自由度は縦型の上位機と同じです。静音クリックと高速スクロールも付きます。
縦型を数週間試して馴染まなかった場合、姿勢の改善は諦めて操作性を取る、という切り替え先になります。手首の負担を減らす方向を続けたいなら、次はトラックボールを見ることになります。
慣れるまでの期間には個人差が大きい
縦型は持ち方が根本的に変わるので、買ってすぐ快適になるとは限りません。ここは正直に書いておきます。
1週間から2週間かかったという報告が多い一方で、PC Watchのレビューのように数分で慣れたという例もあります。手の大きさ、握り方、それまで使っていたマウスの形状で変わる部分なので、事前に予測できません。
実務上の対策は2つです。ひとつは、合わなかったときに返品できる経路で買うこと。もうひとつは、いきなり仕事で常用せず、負荷の低い作業から2、3日かけて移行することです。細かい選択操作の精度は最後に戻ってきます。
トラックボールとの使い分け
手首の負担を減らす道具としては、トラックボールが競合します。狙っているものが違うので、症状で分けると決まります。
| 減らしたいもの | 向いている形 | 理由 |
|---|---|---|
| 前腕のねじれ | 縦型マウス | 手を立てた姿勢のまま操作できます |
| 腕を動かす量 | トラックボール | 本体を動かさずにポインタが動きます |
| 机の占有面積 | トラックボール | 置いた場所から動きません |
手首をひねる姿勢が苦しいなら縦型、腕ごと動かすのが苦しいならトラックボールです。両方に当てはまる場合は、縦型のトラックボールという形もあります。
まとめ:迷ったときの判断順
角度の数字から選ぶと外します。次の順に決めると絞れます。
- 使うOSは何か。Macなら、3千円台の機種はサイドボタンが動きません。メーカーの注記を確認します
- ボタンに何を割り当てたいか。ブラウザの戻るだけなら安い機種で足り、EscやCtrlを置きたいなら設定ソフトのある機種に絞られます
- 手は大きいか小さいか。同じ57度でもLIFTとMX Verticalは別物です。角度ではなく寸法を見ます
- 合わなかったときにどうするか。返品できる経路で買い、2週間は判断を保留します
「57度だから疲れない」という説明は、どの製品を選んでも同じことを言っています。自分のOSと手の大きさを先に決めてから価格を見る順番にすると、合わないものを高く買う失敗を避けられます。
キーボードから手を離す回数そのものを減らす話は分割キーボード6選、机の高さから見直す場合は電動昇降デスク6選にまとめています。