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自作キーボード向けはんだごておすすめ8選 温度調節とUSB-C給電で比較

2026-09-08 公開本記事にはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト・楽天アフィリエイト)を含みます。

キーボードのキットを組むために1本目のはんだごてを買う人がまず見るのは、商品名に大きく書かれたW数です。「130W」と書かれているものが、「47W」と書かれているものより上位機に見えます。

ところがこの2つは競合していません。3千円台の130Wの機種には温度を決める機構がなく、7千円台の47Wの機種は200〜540℃を数字で指定できます。W数は温度の高さでも安定でもなく、こて先へ流し込める熱量の話です。値段の順に温度が良くなる並びにはなっていません。

ここでは8台を参考価格の順に並べます。

目次(9項目)

先に決めるのは「温度を自分で決められるか」です

そもそもはんだ付けが必要かどうかから決まります。キースイッチがソケットに挿さるホットスワップ対応の完成品なら、スイッチを替えるのに工具は要りません。基板とスイッチとダイオードが別々に届くキットを選んだときだけ、はんだごてが要ります。この分かれ目は分割キーボードの比較で扱った機種でも同じで、完成品として届くものとキットとして届くものが混ざっています。

キットを組むと決めたなら、次は温度です。キーボードの基板はスルーホールが細く、ランドが小さく、しかも最近のキットに付いてくるはんだは鉛フリーが多くなっています。鉛フリーは融点が30℃ほど高いので、こて先の温度が足りないと表面だけが濡れて中まで流れません。逆に高すぎるとランドが基板から剥がれます。

温度を決める機構がない機種は、コンセントに挿してから温まりきるまで上がり続けます。何℃で作業しているのかが分からないので、うまくいかなかったときに温度が原因なのかどうかも切り分けられません。1本目に温調機を勧める理由は、うまく付くからではなく、失敗したときに原因を1つ潰せるからです。

はんだごては加熱と給電で3系統に分かれます

形はどれも似ていますが、中身は3つに分かれます。

1系統目と2系統目は同じ売り場に並んでいて、見た目もほとんど同じです。区別できるのは、グリップにダイヤルか液晶が付いているかどうかだけです。

並べ直すとこうなります

製品温度制御設定温度範囲電力電源こて先
PRESTO 984-01なし20W・130WAC100V980-T系
HAKKO FX600ダイヤル温調200〜500℃50WAC100VT18系
goot PX-280デジタル温調200〜500℃80WAC100VPX-28RT系
HOZAN HS-26ダイヤル温調200〜500℃50WAC100VHS-13x系
goot PX-211ダイヤル温調200〜500℃80WAC100VPX-28RT系
HAKKO FX-600Dデジタル温調200〜540℃47WAC100VT18系
FNIRSI HS-02Bデジタル温調100〜450℃PD 100WUSB-C PD独自系列
MINIWARE TS101デジタル温調50〜400℃PD 90W/DC 65WUSB-C PD独自系列

値段の順に良くなっていないところが2か所あります。いちばん安い3千円台のPRESTO 984-01だけが温度を決められず、消費電力の表示だけはこの8台で最大の130Wです。そして上限温度がいちばん高いのは、80Wの2機ではなく47WのFX-600Dです。

USB-C給電の2台は参考価格でいちばん高い側にいますが、温度の上限はAC機に届いていません。TS101が400℃、HS-02Bが450℃で、AC機の500〜540℃とは開きがあります。細かい部品を扱うぶんには足りますが、太い線材やシャーシを相手にすると差が出ます。

電力の列は、AC機が消費電力、USB-C機は入力の上限です。TS101だけはPD側とDC側で数字が違います。

W数の大きさは温度の高さでも安定でもありません

W数は「こて先へどれだけ熱を送り込めるか」の目安であって、到達温度の話ではありません。表の並びがそのまま反例になっています。80WのPX-280とPX-211は上限500℃で、47WのFX-600Dは上限540℃です。

W数が効くのは、こて先を当てた瞬間に奪われた熱を戻す速さのほうです。基板のGNDのベタ面や太い線材は熱をよく吸うので、電力が小さいと温度が落ちたまま戻らず、結果としてはんだが流れません。PRESTO 984-01がボタンを押している間だけ130Wへ跳ね上げる作りになっているのは、ここだけを狙った設計です。通常は20Wで待っています。

もっとも、熱の戻り方はW数だけで決まりません。FX600とHS-26はどちらも50Wですが、熱伝導を上げたこて先や温調回路の作り込みで戻りを稼いでいると各社が説明しています。立ち上がり時間と熱回復の実測値はこの8台ぶんが公表されていないので、この記事の独自採点には入れていません。採点しているのは、公式仕様で8台とも比べられる項目だけです。

USB-C給電のこては本体だけでは温まりません

USB-C給電の2台は、箱を開けてもコンセントに挿す部品が入っていません。PDで電気を出せる充電器と、その電流を通せるケーブルが別に要ります。ここが合っていないと、電源は入るのに設定した温度まで上がらない、という状態になります。

HS-02Bのほうは、FNIRSIの製品ページがUSB-C PDで100Wと書いています。

TS101は事情が違います。MINIWAREの公式ページが参照できる状態になく、数字の出どころはAmazonの商品ページの表記だけです。そこには「PD 90W/DC 65W対応」とあり、USB-Cから入れるときとDCジャックから入れるときで数字が違います。この記事ではその表記に沿って見ます。

USB-C充電器の比較で並べた8台と突き合わせると、手持ちのどれが使えるかがそのまま出ます。

充電器(参考価格)TS101(PD 90W)HS-02B(PD 100W)
Anker 511 Nano 3(1千円台・30W)足りません足りません
UGREEN Nexode 65W 2C1A(2千円台)90Wには届きません足りません
Anker Nano II 65W(3千円台)90Wには届きません足りません
CIO NovaPort TRIOⅡ 65W 3C(5千円台)90Wには届きません足りません
Anker 735 GaNPrime 65W(6千円台)90Wには届きません足りません
Anker Prime 100W 3ポート(6千円台)使えます使えます
UGREEN NexodePro 160W(8千円台)使えます使えます
Apple 70W USB-C電源アダプタ(9千円台)90Wには届きません足りません

PDの定格で見ると、90Wを渡せるのはAnker Primeの上のポートとUGREEN NexodePro 160Wの2台だけです。65Wクラスの4台とApple 70Wは、挿せば動きはしますが、販売ページが書いている90Wには届きません。なおTS101のDC 65Wは丸型のジャックに入れる別系統の数字なので、USB-Cの充電器を選ぶときはPD側だけを見ることになります。PDで使うか、ACアダプターからDCで入れるかで、用意するものが変わります。

HS-02Bに100Wを渡せるのも、同じ2台です。しかもこの2台は、同時に何を挿しているかで出力が変わります。Anker Primeは1台だけなら上のポートで100Wを出しますが、2台つないだ時点で65W+30Wの配分になります。Anker 735も、1台なら65Wですが下のCポートとAポートを併用すると24Wまで落ちます。こてを挿している間は、そのポートを専有させる形になります。

ケーブルも別扱いです。90Wも100Wも20Vで3Aを超えるので、3A止まりのケーブルでは60Wで頭打ちになります。5Aを通すにはeMarkerの入ったケーブルが要るので、手持ちのUSB-Cケーブルをそのまま使えるとは限りません。

合計金額で見ると、本体の値段だけを比べたときとは違う数字になります。PD側の表記どおりに使うなら、どちらも90W以上を出せる充電器が要ります。Anker Prime(6千円台)を足すと、HS-02Bは1万7千円前後、TS101は2万1千円前後です。同じ予算で見たとき、コンセントに挿すだけで上限540℃まで使えるFX-600Dは参考価格¥7,679です。USB-C給電で払っているのは温度性能ではなく、コンセントの位置から自由になることです。

こて先は機種ごとの系列で、他社のこて先は付きません

こて先は消耗品です。酸化して、はんだが乗らなくなったら替えます。ここで効くのが系列で、この8台は互換しない系列に分かれていて、他社のこて先はそのまま挿さりません。

キーボードの基板ではB型(円錐)よりC型やD型(斜めに切った面)のほうが熱を渡しやすいので、標準で付いてくる1本のほかに1〜2本は買い足すことになります。系列を先に見ておくと、その買い足しが詰まりません。

用途から引き当てる

何をはんだ付けするかで、見るところが変わります。キーボードのキットだけでなく、シングルボードコンピュータにGPIOのピンヘッダやNVMe変換基板を自分で付ける場面も、同じ道具で足ります。

やること見るところこの記事の該当機
キーボードキットのスイッチとダイオード温度を数字で決められるPX-280 / FX-600D
はじめての1本・一般的な電子工作ダイヤル温調で足りるFX600 / HS-26
太い線材やGNDのベタ面上限温度と電力PX-211 / FX-600D
出先・コンセントが無い場所USB-C PD給電TS101 / HS-02B
端子やギボシを年に数回温調は要らないPRESTO 984-01

1行目と5行目は別の道具です。値段の上下では選べません。

自作キーボード向けはんだごておすすめ8選

3千円台:130Wと書いてあるが温度は決められない

独自採点の規則(5項目・各5点)

楽天のレビューは商品によって件数が1件から数百件までばらつき、件数の少ないものは1人の評価で平均が1点以上動きます。楽天側でレビューが消えると数字も黙って変わるので、順位付けには使っていません。代わりに、下の規則でスペックから機械的に点を出しています。記事に載せている表の値をそのまま当てはめているだけなので、読者が検算できます。総合点は5項目の単純平均です。用途によって効く項目が違うので、総合点だけでなく項目ごとの差を見てください。

温度の決めやすさ
比較表の「温度制御」。デジタル温調=5 / ダイヤル温調=4 / 温度制御なし=1
温度の幅
比較表の「設定温度範囲」の上限(℃)。520以上=5 / 480以上=4 / 430以上=3 / 400以上=2 / 温度を設定できない機種は0として扱い=1
電源の手軽さ
比較表の「電源」。AC100V=5 / USB-C PD=3。PD側は充電器とケーブルを別に用意することになるので下げています
こて先の入手しやすさ
比較表の「こて先」。T18系=5 / 980-T系=4 / PX-28RT系=4 / HS-13x系=4 / 独自系列(HS-02B・TS101)=2
値段の入りやすさ
参考価格。3,500円未満=5 / 5,500円未満=4 / 8,000円未満=3 / 13,000円未満=2 / それ以上=1

この独自採点は「1本目として買って、キットを組み終えるまで詰まらないか」という見方に寄っています。出先で使う前提なら3番目の項目は当てはまらないので、そこを外して見てください。立ち上がり時間と熱回復は8台ぶんの数値が公表されていないため、採点には入れず本文に回しています。

ボタンを押している間だけ130Wへ跳ね上がる作りで、太い線やGNDのベタ面に一瞬で熱を入れられます。通常は20Wで待つので、置いている間にこて先が空焼きで痩せにくいという利点もあります。ただし温度を数字で決める機構は持ちません。キーボードの基板や鉛フリーはんだのように温度の管理が要る相手には向かない一方、ケーブルの端子やギボシを年に数回付けるだけなら過不足がない1本です。

5千円台:ダイヤルを回して200〜500℃を決める

グリップのダイヤルを回すだけで200〜500℃を決められます。設定用のソフトも別体のステーションも要りません。こて先がT18シリーズで、形状の選択肢と入手先がこの8台でいちばん広いのも効きます。消費電力は50Wですが、熱伝導を上げたこて先で戻りを稼ぐ設計です。設定温度は数字で表示されないので、目盛りを信じる形になります。こて台は別売りです。

5千円台:液晶に現在温度が出る80W

液晶に現在温度が出るので、200〜500℃を1℃単位で決めて、その温度に届いてから当てられます。スリープとシャットダウンを内蔵していて、置いたままの空焼きとコンセントの抜き忘れも減ります。80Wのセラミックヒーターなので、ステーション型を机に置かずに熱回復の速さだけを持ち込めます。耐熱キャップは別売で、本体が太いぶん細かい部品を長時間つまむ姿勢では手が疲れます。

5千円台:グリップに温調回路を入れた50W

グリップの中に温調回路を収め、ダイヤルで200〜500℃を決めます。50Wでも熱回復が速くなるよう、温調回路とビット形状を設計し直したモデルです。3点で握る形のグリップは、狭い基板の上で角度を保ちたいときに効きます。ビットがHS-13x系のホーザン専用なので、T18系ほど店頭では見かけません。温度は目盛り合わせで、数字での確認はできません。

6千円台:ボリュームで200〜500℃を連続で変える

温度調節ボリュームを指で回すだけで200〜500℃まで連続で変えられます。80Wのセラミックヒーターなので、鉛フリーはんだのように温度と熱量が要る作業でも余裕があります。耐熱保護キャップが付属していて、こて先を覆ったまま片付けられます。温度が数字で出ないため、狙った温度を確かめるにはこて先温度計が別に要ります。廃番になったPX-201の後継にあたる新しい型で、店頭在庫はまだ多くありません。

7千円台:上限540℃をホイールで決める

液晶に温度が出て、ホイール操作で200〜540℃まで設定できます。上限540℃はこの8台で最も高く、しかも消費電力は47Wです。シャーシや大きなコネクタのように熱を吸う相手にも温度で届かせられます。こて先がFX-600と同じT18シリーズなので、ダイヤル式から乗り換えても手持ちのこて先がそのまま使えます。FX600より3千円ほど高いので、温度を数字で見る必要がなければ差額は効きません。

1万円台:USB-C PD 100Wで100〜450℃

USB-C PDで100Wまで受けて、100〜450℃をIPS液晶を見ながら決めます。PD充電器かモバイルバッテリーがあれば動くので、コンセントの位置に縛られません。3つの温度をプリセットに置けるため、部品ごとに設定を戻す手間も要りません。ただし100Wを出すには20V 5AのPD充電器と5A対応ケーブルが要り、本体のほかに出費がかかります。こて先はメーカー独自の系列です。

1万4千円台:PDとDCの二系統で50〜400℃

USB-C PDとDCの二系統入力を持ち、出先ではモバイルバッテリー1本で動かせます。OLEDに温度が出て、50〜400℃を細かく決められます。ペン軸ほどの太さなので、細かい部品を長時間つまむ姿勢でも手が疲れにくい形です。販売ページの表記はPD 90W/DC 65Wで、PD側の表記どおりに使うには90Wを出せる充電器とケーブルが要ります。上限が400℃で、AC100Vのこてのように500℃前後まで上げることはできません。

まとめ:判断の順番

W数の大きい順に見ていくと外します。次の順に決めると絞れます。

  1. 温度を数字で決める必要があるか。キーボードのキットや鉛フリーはんだなら、温調は必須です。端子付けが年に数回なら要りません
  2. 上限温度がどこまで要るか。基板の部品だけなら400℃で足ります。太い線材やシャーシを相手にするなら500℃以上を見ます
  3. こて先の系列。消耗品なので、買い足しやすい系列かどうかが後から効きます。T18系がいちばん広く出回っています
  4. AC100VかUSB-C PDか。USB-C給電を選ぶなら、充電器とケーブルの代金を本体価格に足したうえで比べます

なお、この記事の仕様は各社の製品ページに載っている値です。ただしMINIWARE TS101だけはメーカー公式ページを参照できる状態になく、温度範囲と電力は販売ページの表記に依っています。8台を並べて実測はしていません。立ち上がり時間と熱回復は8台ぶんが公表されていないので、独自採点にも入れていません。

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