← ガジェット研究所

デジタルマルチメーターおすすめ8選 電流測定・安全カテゴリ・True RMSで比較

2026-09-09 公開本記事にはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト・楽天アフィリエイト)を含みます。

テスターを買おうとして商品一覧を眺めると、値段の幅がそのまま性能の幅に見えます。2千円台のカード型から2万円台の国産ハンディまで並んでいて、上のほうを買えば下でできることは全部できる、という順番になっていそうに見えます。

そうはなっていません。参考価格7,800円のFluke 101にも、21,537円のHIOKI DT4224にも、公式仕様に電流レンジがありません。一方で5,803円のカスタムCDM-36は10Aまで直接測れて、真の実効値方式にも対応しています。電流・安全カテゴリ・表示カウント・真の実効値の4つは、そろって値段の順には並びません。

ここでは8台を参考価格の順に並べます。

目次(10項目)

先に確かめるのは「何を測りたいか」です

自作キーボードのキットを組むときにテスターでやることは、ほぼ3つに固定されます。はんだ付けした足とランドがつながっているかを見る導通、ダイオードの向きが逆になっていないかを見るダイオードテスト、マイコンに3.3Vや5Vが来ているかを見る直流電圧です。この3つは今回の8台がすべて持っています。

つまりこの価格帯の選択は「何ができるか」ではなく「何ができないか」で分かれます。電流が測れない機種が3台あり、真の実効値方式を持つ機種は3台しかありません。表示の細かさは2000カウントから6000カウントまで3倍の開きがあります。どれも商品名やサムネイルには出てこない項目です。

基板をケースから取り出すところまでは精密ドライバーセットの比較で扱った道具の仕事で、テスターの出番は蓋を開けたあとです。工具箱としては別々に買うものなので、先にどちらが要るのかを分けておくと無駄が出ません。

テスターは3系統に分かれます

売り場では同じ「デジタルマルチメーター」として並んでいますが、想定している現場が3つに分かれています。

電子工作だけが目的なら3系統目は過剰になります。ただし過剰なぶんが値段に乗っているだけで、電流のような別の項目まで付いてくるわけではありません。

並べ直すとこうなります

製品電流測定安全カテゴリ表示カウントTrue RMS
カスタム M-01FB200mAまでCAT III 300V2000×
三和 PM3なしCAT III 300V4000×
カスタム CDM-3610ACAT III 600V6000
Fluke 101なしCAT III 600V6000×
Fluke 10710ACAT III 600V6000×
三和 CD77110ACAT III 600V4000×
HIOKI DT4224なしCAT IV 300V6000
HIOKI DT425610ACAT IV 600V6000

並びは参考価格の昇順です。4つの列のうち、値段の順に素直に良くなっている列は1つもありません。電流測定は3台目で10Aに届いたあと4台目と7台目で「なし」に戻り、表示カウントは3台目の6000から6台目の4000へ下がり、True RMSは3台目で付いたあと4台目から6台目まで3台続けて外れます。

この記事の値はすべて各社の公式仕様ページに載っているものです。Fluke 101の表示カウントだけは数字そのものの記載がなく、レンジ構成(600.0mV/6.000V/60.00V/600.0V、分解能0.1mV)から6000として扱っています。Fluke 101と107のTrue RMSが×なのも、公式仕様に真の実効値の記載がないという意味です。

同じ工具箱に入る道具として、はんだごての比較のときは温度制御の有無が値段の順に並ばないことが問題でした。今回はそれが4列同時に起きています。

値段を上げても、電流が測れるようになるとは限りません

8台のうち電流を測れないのは3台で、参考価格は5,153円・7,800円・21,537円です。いちばん高い機種といちばん安い部類の機種が同じ列で並びます。逆に、この記事で最初に10Aまで測れるようになるのは3台目の5,803円のCDM-36です。

電流レンジがないぶん何を持っているかは機種ごとに違います。PM3はコンデンサ容量・周波数・デューティ比を持ち、Fluke 101は基本DC確度0.5%を持ち、DT4224はCAT IV 300Vと真の実効値方式を持ちます。つまり「電流を落として別のものに振っている」のであって、手を抜いた結果として落ちているわけではありません。

問題は、商品ページの上のほうに書かれるのが値段とブランドと安全カテゴリで、電流レンジの有無は仕様表の下のほうにしか出てこないことです。Fluke 101は「フルークの入口」として紹介されることが多く、そこに電流が入っていないとは書かれません。買ってから気づくと、クランプ(i400E)を足すか、もう1台買うかの二択になります。

安全カテゴリは値段ではなく、想定した現場で決まります

CATはIEC 61010が定める過電圧カテゴリで、数字が大きいほど電源に近い場所を想定します。CAT IIがコンセントに挿した機器の側、CAT IIIが分電盤から機器までの屋内配線、CAT IVが引込口や配電線です。電源に近いほど、事故のときに流れ込むエネルギーが大きくなります。

ここで読み違えやすいのは、区分と電圧がセットになっていることです。CAT IV 300VはCAT III 600Vより上の区分ですが、扱える電圧は下です。今回の8台ではDT4224がCAT IV 300V、CDM-36やFluke 101がCAT III 600Vで、どちらが上とは一言では言えません。両方で上に立つのはCAT IV 600VのDT4256だけです。

電子工作でテスターを当てる先はUSBの5VやマイコンのGPIOなので、必要な区分はCAT IIで足ります。今回の8台はいちばん安いM-01FBでもCAT III 300Vなので、この用途では全機が過剰です。CAT IVに払っているのは、分電盤の一次側や引込口を触る可能性への保険であって、電子工作での測定精度ではありません。

表示カウントと真の実効値は、電子工作では効き方が違います

表示カウントは最大表示の桁数です。2000カウントなら1.999まで、6000カウントなら5.999までを同じ小数桁で表示できます。3.3Vを測ったとき、2000カウントの機種は20Vレンジに入って3.30Vまで、6000カウントの機種は6Vレンジのまま3.300Vまで読めます。1桁ぶんの差が、レギュレータの出力が規定内かどうかを見るときに効きます。

真の実効値方式のほうは、電子工作では効く場面が限られます。平均値整流の機種は正弦波を前提に係数を掛けて実効値を出しているので、正弦波から外れた波形では読みがずれます。PWMで駆動しているファンやインバータ回路の交流がこれに当たります。逆にキーボードの基板やUSB電源のように直流だけを見るなら、どちらの方式でも同じ数字が出ます。

この2つは値段と連動しません。表示カウントは参考価格5,803円のCDM-36で6000に達し、14,940円のCD771では4000に戻ります。真の実効値方式を持つのはCDM-36とHIOKIの2台で、その間にいる7千円台から1万4千円台の3台には付きません。

電流レンジは、使わないのに事故の原因になります

電流を測るには、回路を切ってテスターを直列に割り込ませます。電圧のように2点に当てるだけでは測れません。自作キーボードでもシングルボードコンピュータの周辺でも、実際にそこまでする場面はまれで、使うのは前述の導通・ダイオードテスト・直流電圧の3つに落ち着きます。分割キーボードの比較で挙げたようなキットを組む工程でも、電流を測る手順は出てきません。

使わない機能なら、無くても困らないはずです。それでも電流レンジが話題になるのは、電流レンジのまま電圧を測ると短絡になるからです。A端子は電流を通すために内部抵抗をほぼゼロにしてあり、そこを電源の両極に当てると、テスターがそのまま導線として電源をショートさせます。ロータリースイッチを戻し忘れて次に電圧を測る、という順番で起きます。

ここで最後に立つのがヒューズです。公式仕様まで見ると、三和のCD771は電流測定に30kAの高遮断容量ヒューズを積んでいると公表しています。Fluke 107は11A/1000Vの速断型で、フルーク指定の部品に限られると書かれています。安価な機種は、ヒューズの型番も遮断容量も公式仕様に出てきません。切れたときに何を買えばよいのかが分からないのも同じ理由です。ただしこの数字は8台ぶんそろわないので、独自採点の軸には立てず本文だけで扱っています。

読み方は2通りあります。電流を測る予定があるなら、レンジの有無だけでなくヒューズまで公表している機種を選ぶ。電流を使う予定がないなら、そもそも電流レンジのないFluke 101やDT4224を選べば、この事故は起こりようがありません。電流の列が「なし」であることは、用途によっては欠点ではなく仕様です。

デジタルマルチメーターおすすめ8選

2千円台:導通とダイオードだけなら足りる

独自採点の規則(5項目・各5点)

楽天のレビューは商品によって件数が1件から数百件までばらつき、件数の少ないものは1人の評価で平均が1点以上動きます。楽天側でレビューが消えると数字も黙って変わるので、順位付けには使っていません。代わりに、下の規則でスペックから機械的に点を出しています。記事に載せている表の値をそのまま当てはめているだけなので、読者が検算できます。総合点は5項目の単純平均です。用途によって効く項目が違うので、総合点だけでなく項目ごとの差を見てください。

電流を測れるか
比較表の「電流測定」。10A=5 / 200mAまで=3 / なし=1
安全カテゴリ
比較表の「安全カテゴリ」。CAT IV 600V=5 / CAT IV 300V=4 / CAT III 600V=3 / CAT III 300V=2
表示の細かさ
比較表の「表示カウント」。4000未満=3 / 6000未満=4 / 6000以上=5
交流の正確さ
比較表の「True RMS」。真の実効値方式=5 / 記載なし=2
参考価格
参考価格。5,000円未満=5 / 10,000円未満=4 / 15,000円未満=3 / それ以上=2

この独自採点は「電子工作の確認用に1台だけ買うなら詰まらないか」という見方に寄っています。分電盤の一次側を触る前提なら2番目の項目の重みが変わるので、そこを読み替えてください。Fluke 101 の表示カウントは公式仕様のレンジ構成から読んだ値です。Fluke 101 と Fluke 107 の True RMS を × にしているのは、公式仕様に真の実効値の記載が無いという意味です。ヒューズの遮断容量は8台ぶんが公表されていないため、採点には入れず本文に回しています。

手帳に挟まる薄さで、導通ブザーとダイオードテスト、直流電圧の4レンジを持ちます。電流も200mAまでなら測れるので、LEDに流れている電流を確認する程度なら間に合います。詰まるのは表示のほうで、2000カウント止まりなので3.3Vは3.30Vまでしか読めません。真の実効値方式ではないため、インバータ回路のように波形が歪む交流ではずれます。安全カテゴリはCAT III 300Vで、PM3と並んでこの8台では最も低い区分です。

5千円台:カード型だが電流レンジは持たない

厚さ11.5mm・約50gのカード型で、ノートPCのポーチにそのまま差せます。表示は4000カウントで、400mVレンジは0.1mV分解能まで読めます。コンデンサ容量・周波数・デューティ比まで測れるので、電子工作の確認用としては過不足がありません。ただし電流レンジがなく、電流を測りたくなったときは別の1台を用意することになります。安全カテゴリもCAT III 300V止まりです。

5千円台:ここで一通り測れるようになる

この記事の4つの列がはじめて全部そろうのがここです。直流も交流も60mA/600mA/6A/10Aの4段で10Aまで直接測れ、検波方式は真の実効値方式、表示は6000カウント、安全カテゴリはCAT III 600Vです。10Aレンジには連続15秒以内という制限があるので、大きな電流を測り続ける用途には向きません。表示部が小さく、離れた位置から読むのにも向きません。

7千円台:ブランドの入口。電流レンジは付いてこない

基本DC確度0.5%で、電圧の読みの締まり方はこの価格帯で頭ひとつ抜けています。CAT III 600Vを持ちながら片手に収まり、ブザー付きの導通試験とダイオードテストも備えるので、配線の追い込みはこれだけで進みます。ただし公式仕様に電流レンジがなく、電流を測るには別売のクランプ(i400E)を足すことになります。公式仕様に真の実効値の記載もありません。

1万2千円台:10A端子の付いたポケット型

101と同じポケットサイズのまま、10AまでのAC/DC電流を測る入力端子が付きます。ディスプレイは6000カウント・毎秒3回更新で、値の動きを追いながら読めます。安全性はIEC 61010-1の600V CAT IIIで、バックライトも付きます。公式仕様に真の実効値の記載はないので、歪んだ波形の交流では読みがずれます。電流入力のヒューズは11A/1000Vの速断型でフルーク指定部品に限られ、切れたときの入手先が限られます。

1万4千円台:国産ハンディの入口

直流も交流も400μ/4000μ/40m/400m/4/10Aの6レンジを持ち、10A端子を別に備えます。電流測定に30kAの高遮断容量ヒューズを積んでいると三和が公表しており、測定端子を間違えたときの備えがあるのはこの8台では貴重です。外周は衝撃に強いエラストマーの二重成形です。表示は4000カウントで、参考価格が3分の1のCDM-36(6000)より読みは粗くなります。周波数特性は40〜400Hzの正弦波前提で、真の実効値方式ではありません。

2万1千円台:CAT IVに上がるが電流は測れない

安全カテゴリがCAT IV 300V/CAT III 600Vに上がり、漏電ブレーカの誤遮断防止機能も持ちます。交流電圧は実効値整流方式で、40Hz〜1kHzの歪んだ波形もそのまま測れます。表示は4桁液晶の最大6000dgt.にバーグラフ付きです。それでも電流レンジは持たないので、参考価格が2万円を超えていても電流は測れません。交流電圧の下限も6.000Vレンジからで、ミリボルト級の交流は守備範囲の外です。

2万5千円台:8台で唯一のCAT IV 600V

安全認証がCAT IV 600V/CAT III 1000Vで、この8台のなかで最も上の区分です。真の実効値方式なので歪みの多い波形でも測定方式による読みの差が出ず、直流電流は60.00mA〜10.00Aまで直接測れます。ACクランプセンサも接続できます。参考価格は2万円を超え、同じ6000カウント・真の実効値方式のCDM-36の4倍近くになります。本体も大きく、ポケットに入れて持ち歩く使い方には向きません。

はんだごて・精密ドライバーとの噛み合わせ

テスターは単体で買う道具ではありません。キットを組む一連の作業のなかでは、留めるところ・付けるところ・確かめるところで持ち替える3本目に当たります。

やること使う道具テスターに求めるもの
ケースや基板を開ける精密ドライバーまだ出番はありません
ダイオードとスイッチを付けるはんだごて導通ブザーとダイオードテスト
付いたかどうかを見るテスター導通の反応の速さ
電源が来ているかを見るテスター直流電圧と表示カウント
ACアダプタ側を疑うテスター真の実効値方式と安全カテゴリ

2行目の温度の決め方ははんだごての比較、1行目のビットの種類は精密ドライバーセットの比較で扱っています。3本のうちテスターだけが、作業そのものではなく確認に使う道具です。だから「うまくいかない」を切り分ける場面でしか本領が出ませんが、その場面は必ず来ます。

まとめ:判断の順番

値段の高い順に見ていくと外します。次の順に決めると絞れます。

  1. 電流を測る予定があるか。予定がないなら電流レンジのない機種でよく、レンジの戻し忘れによる短絡も起きません。予定があるなら10A端子を持つ4台から選びます
  2. どこに当てるか。USB電源やマイコンの周辺だけならCAT IIで足りるので、8台のどれでも過剰です。分電盤の一次側を触るならCAT IVの2台に絞られます
  3. 読みたい桁。レギュレータの出力を3.300Vまで見たいなら6000カウント、電圧が来ているかどうかだけなら2000カウントでも足ります
  4. 交流の波形が歪むか。PWMやインバータを相手にするなら真の実効値方式の3台、直流だけなら方式は問いません
  5. 同時に買う道具。はんだごてと精密ドライバーを一緒にそろえるなら、3本の合計で予算を見ます。テスターだけを上げても組み立ては進みません

この記事の仕様は各社の公式仕様ページに載っている値です。8台を並べて実測はしていません。Fluke 101の表示カウントだけは数字の記載がなく、レンジ構成から6000として扱っています。ヒューズの遮断容量は8台ぶんが公表されていないため、独自採点には入れず本文に回しています。

← ガジェット研究所 トップへ戻る はんだごておすすめ8選 精密ドライバーセットおすすめ8選