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モニターヘッドホンおすすめ8選 インピーダンス・能率・開放型で比較

2026-09-02 公開本記事にはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト・楽天アフィリエイト)を含みます。

「モニターヘッドホン」の棚には、9千円台のものから3万円台のものまでが同じ名前で並んでいます。スタジオで使われてきた定番機と、最近出た新型が値段順に置かれていて、上に行くほど良くなっていく並びに見えます。

ところが、値段を上げるほどPCの直挿しで鳴らしにくくなることがあります。参考価格9,075円のATH-M20xは出力音圧レベル96dB/mW、3倍高い27,830円のATH-R50xは93.3dB/mWです。数字が2.7小さいということは、同じ音量を出すのに倍近い出力が要るということです。唯一の3万円超であるDT 770 PROは定格インピーダンス250Ωで、残る7台の37Ωから63Ωという範囲から一桁ずれています。

ここでは8台を参考価格の昇順に並べます。順位は付けません。

目次(9項目)

先に見るのは値段ではなく、インピーダンスと能率の2つ

商品ページで大きく出ているのは、再生周波数帯域とドライバー径です。5Hzから35,000Hzまで、40mm径、といった数字が並びます。この2つは、PCに挿したときに音量が取れるかどうかには関係しません。

音量が取れるかを決めるのは別の2つです。インピーダンス(Ω)と、能率です。能率はメーカーによって出力音圧レベル・音圧感度・感度と呼び名が変わりますが、指しているものは同じです。

この8台では、インピーダンスは7台が37Ωから63Ωに集まり、DT 770 PROの250Ωだけが離れています。能率は93.3から106までの幅があります。値段とはどちらも連動していません。

そもそもヘッドホンで音を出すか、机の上で音を鳴らすかという分かれ道が手前にあります。日中に音を出せる環境ならPCスピーカーの比較で並べた8台のほうが早く、夜に音を出せないならヘッドホンになります。両方置いて昼はスピーカー、夜はヘッドホンに切り替えるなら、切り替えの手数はスピーカー側の入力の数で決まるので、そちらを先に決めたほうが順番として素直です。

「鳴らしやすさ」は2つの数字で決まる

インピーダンスが効くのは電圧です。ヘッドホンに送り込む電力Pと負荷Rから、要る電圧は V = √(P × R) で出ます。同じ25mWを入れるにしても、47Ωなら約1.1V、250Ωなら2.5Vが要ります。PC内蔵の出力は前者なら足りて後者では足りない、ということが起こります。

能率が効くのは出力です。dB/mWは1mWを入れたときに出る音圧を表していて、出力を10倍にすると音圧は10dB上がります。93.3dB/mWと106dB/mWの差は12.7dBあり、電力にすると約19倍です。

ここで表記が2系統に割れます。この8台の公式仕様を並べると、基準の取り方が3通りありました。

1Vを掛けたときに負荷が受け取る電力はインピーダンス次第なので、dB SPL/Vはインピーダンスが分からないと1mW基準には直せません。逆に言えばインピーダンスが分かれば計算そのものはできますが、メーカーが出していない数字を作って表に混ぜると、出典のある値と見分けが付かなくなります。この記事では公式の表記のまま並べ、独自採点の軸にも使いません。

読むときに気をつけるのはここです。K240 MKIIの104とMDR-CD900STの106を同じ列で見比べても、大小の意味はありません。前者は1Vを掛けたとき、後者は1mWを入れたときの数字です。並んだ数字が近いほど、同じものだと思って読んでしまいます。

構造は密閉型・開放型・セミオープンの3系統

ハウジングの後ろが閉じているか開いているかで3つに分かれます。この8台の内訳は密閉型が5台、開放型が2台、セミオープンが1台です。

夜に家族が寝ている部屋で使う、同僚と同じ島で使う、という条件があるなら、ここで開放型の2台とセミオープンの1台が落ちます。逆に、周りに人がいない部屋で長時間かぶるなら、開放型のほうが耳の中の圧迫感が少なくて済みます。構造は好みではなく置き場所で決まる項目です。

並べ直すとこうなります

製品名参考価格インピーダンス能率質量構造
ATH-M20x¥9,07547Ω96dB/mW190g密閉型
K240 MKII¥15,80055Ω104dB SPL/V240gセミオープン
SRH440A¥17,00044Ω105dB/mW272g密閉型
HD 599 SE¥17,57050Ω106dB SPL/1Vrms250g開放型
MDR-CD900ST¥24,86063Ω106dB/mW200g密閉型
ATH-R50x¥27,83050Ω93.3dB/mW207g開放型
HPH-MT8¥29,36037Ω102dB SPL/mW350g密閉型
DT 770 PRO 250Ω¥31,790250Ω96dB375g密閉型

製品名は型番で書いています。メーカー名を含む表記は下の8選の各カードにあります。質量の列は、DT 770 PRO以外はケーブルやコードを除いた公式値です。ATH-M20x・SRH440A・MDR-CD900ST・ATH-R50xの4台は、公式の表記が「約」の付いた値です。DT 770 PROはケーブルを含む375gしか公表されていないので、この行だけ他の7台と同じ条件の数字ではありません。

行は参考価格の昇順ですが、上から下へ良くなっていく列はひとつもありません。逆転しているところが4つあります。

能率の列は、上で書いたとおり基準が3通り混ざっています。dB/mWの5台どうしなら比べられますが、K240 MKIIとHD 599 SEの2台は別の物差しの上に乗っています。DT 770 PROの96dBには基準の表記がありません。

用途から引き当てる

置き場所とつなぎ先が決まっていれば、比較表で見る列は1つか2つに減ります。

条件見る列この記事の例
PCのイヤホン端子に直接挿すインピーダンスHPH-MT8 / SRH440A
ボリュームを上げきっても足りない能率MDR-CD900ST / SRH440A
夜に家族を起こしたくない構造ATH-M20x / MDR-CD900ST
耳の中のこもりを避けたい構造HD 599 SE / ATH-R50x
1日8時間かぶる質量ATH-M20x / MDR-CD900ST
USB DACをすでに持っているインピーダンスDT 770 PRO 250Ω
1万円で始めたい参考価格ATH-M20x

右の列に挙げたのは分かりやすい例で、同じ条件を満たすものは他にもあります。比較表の該当する列を上から下まで見てください。条件が2つ重なると急に絞られます。密閉型で250g以下という条件では、ATH-M20xとMDR-CD900STの2台だけが残ります。

おすすめのモニターヘッドホン8選

1万円未満:PCに直挿しで鳴らす前提の入門

この帯は1台だけです。47Ωで約190g、密閉型という組み合わせで、置き場所とつなぎ先を選びません。

独自採点の規則(4項目・各5点)

楽天のレビューは商品によって件数が1件から数百件までばらつき、件数の少ないものは1人の評価で平均が1点以上動きます。楽天側でレビューが消えると数字も黙って変わるので、順位付けには使っていません。代わりに、下の規則でスペックから機械的に点を出しています。記事に載せている表の値をそのまま当てはめているだけなので、読者が検算できます。総合点は4項目の単純平均です。用途によって効く項目が違うので、総合点だけでなく項目ごとの差を見てください。

電圧の要求の低さ
比較表のインピーダンス。50Ω以下=5 / 64Ω以下=4 / 120Ω以下=3 / 250Ω以下=2 / それより高いもの=1。低いほうがPCの直挿しで要る電圧が小さくて済みます。
周りへ音が漏れないか
比較表の構造。密閉型=5 / セミオープン=3 / 開放型=1
長時間つけていられるか
比較表の質量。220g以下=5 / 260g以下=4 / 300g以下=3 / 340g以下=2 / それより重いもの=1
参考価格
参考価格。10,000円未満=5 / 18,000円未満=4 / 30,000円未満=3 / 30,000円以上=2

この独自採点は「PCにつないだ机の上で、無理なく鳴らして無理なくかぶっていられるか」という見方に寄っています。能率は採点に使っていません。8台の公式表記が1mW基準(dB/mW)と1V基準(dB SPL/V)に割れていて、同じ物差しの上に並ばないためです。能率は比較表と本文で扱っています。質量は、DT 770 PRO以外はケーブルやコードを除いた公式値です。DT 770 PROはケーブルを含む375gしか公表されていないので、他の7台よりも不利な条件の数字がそのまま点になっています。音質そのものも採点していません。各社が同じ条件の測定値を出していないためです。点数より先に、比較表の構造とインピーダンスの列を見てください。

1万円台:定番のスタジオ用と開放型の入口

3台が1万5千円台から1万7千円台に並びます。インピーダンスは44Ωから55Ωでほぼ同じですが、構造がセミオープン・密閉型・開放型と3つに分かれます。ここでの選択は音ではなく置き場所の話になります。

2万円台:能率と構造が分かれる帯

3台とも2万4千円から2万9千円に収まりますが、能率が93.3dB/mWから106dB/mWまで開きます。値段の差では説明できない開き方です。

3万円以上:鳴らすほうを先に用意する帯

この帯も1台です。250Ωという数字を先に見ておかないと、届いてから音量が足りないことに気づきます。

能率から、DACに要る出力を出す

能率が分かっていれば、目標の音圧を出すのに要る出力は計算で出ます。出力を10倍にすると音圧が10dB上がるので、式は 必要mW = 10^((目標dB - 能率dB) ÷ 10) です。100dBは長く聴くには大きめの音量、110dBは曲のピークまで余裕を見た値です。

製品名能率100dBに要る出力110dBに要る出力
ATH-R50x93.3dB/mW4.7mW47mW
ATH-M20x96dB/mW2.5mW25mW
HPH-MT8102dB SPL/mW0.63mW6.3mW
SRH440A105dB/mW0.32mW3.2mW
MDR-CD900ST106dB/mW0.25mW2.5mW

K240 MKIIとHD 599 SEは1V基準の表記なので、この表に入れていません。DT 770 PROの96dBも基準が書かれていないため外してあります。

ここまでの数字は数mWから数十mWで、USB DACの定格に出てくる「最大出力300mW」のような値と比べると小さく見えます。必要47mWのATH-R50xでも、300mWのDACなら6倍の余裕があるように読めます。

この読み方が成立しないのは、両者が同じ条件の数字ではないからです。ヘッドホン側の必要mWはインピーダンスに依りません。能率が96dB/mWなら、47Ωでも250Ωでも110dBには25mWです。一方でDACの「最大出力300mW」はほぼ必ず32Ω負荷での値で、負荷が変わればそのまま出ません。

先ほどの V = √(P × R) を使うと、32Ωで300mWを出しているときの電圧は約3.1Vです。電圧の上限がそこだとすると、250Ωの負荷に3.1Vを掛けたときの電力は P = V² ÷ R で約38mWにしかなりません。300mWと書かれた機械が、250Ωのヘッドホンには38mW相当しか渡せないということです。

DT 770 PROの96dBを仮に1mW基準だとして当てはめると、110dBに25mWが要ります。38mWのうち25mWを使うので、余裕は1.5倍ほどしか残りません。「必要25mWに対して300mWだから10倍以上の余裕がある」という読み方とは、結論が変わります。

手持ちの機械の数字と突き合わせるなら、USB DACの比較に8台ぶんの最大出力(32Ω)を並べてあります。上の表で要る出力を出したら、そちらの最大出力(32Ω)と見比べてください。32Ω前後のヘッドホンならどれでも足りますが、250Ωを選ぶときだけは、DAC側を先に決めることになります。

マイクが要るならヘッドセットのほう

この8台にマイクは付いていません。モニターヘッドホンは音を聴くための機械なので、これを買ってもWeb会議で声は届きません。会議が主な用途なら、マイクと一体になったWeb会議用ヘッドセットの比較で並べた製品のほうが合います。

ヘッドホンと単体マイクを別々に立てる組み方もあります。そのときは構造が効いてきます。開放型とセミオープンはハウジングから音が漏れるので、机の上のマイクが相手の声を拾い直して回り込みます。会議と音楽の両方に使うつもりなら、この記事の中では密閉型の5台に寄せることになります。

まとめ:判断の順番

値段から見ると外します。次の順に決めると絞れます。

  1. 周りに人がいるかを先に決める。いるなら密閉型の5台に絞られ、開放型の2台とセミオープンの1台は候補から外れます
  2. PCに直挿しか、DACを挟むかを決める。直挿しなら37Ωから63Ωの7台です。250Ωを選ぶなら、鳴らす側を先に用意します
  3. 能率は基準を確かめてから読む。dB/mWとdB SPL/Vは別の物差しなので、104と106のような近い数字が並んでいても比べられません
  4. かぶる時間から質量を見る。190gと375gでは倍近い差があり、8時間の作業では効いてきます
  5. 参考価格は最後に見る。この記事の4軸では、いちばん安いATH-M20xがすべての軸で高い点になりました

ここに載せた数値は各社と国内代理店の製品ページに書かれている値で、8台を聴き比べた結果ではありません。音の傾向は各社が同じ条件で数値にしていないため、独自採点の軸にも入れていません。

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