ハードウェア暗号化USBメモリおすすめ8選 解錠方式とMac対応で比較
社外に持ち出すファイルや、預かったデータを運ぶために暗号化USBメモリを買おうとすると、売り場には1万円台から3万円台までが並びます。見た目はどれも普通のUSBメモリで、容量も4GBから128GBとばらばらです。3倍近い値幅があるので、高いほうが上位版で、対応する環境も広いのだろうと読むのが自然です。
ところが、この手のUSBメモリの対応OSは暗号の強さではなく、メーカーが用意した解錠プログラムの都合で決まります。参考価格14,500円のI-O DATA ED-E4/16GRは、仕様の対応OS欄にmacOS 10.11から26までが並んでいるのに、付属の初期化ソフトはWindowsのみ対応だとメーカー自身が注記しています。より安い13,969円のKingston IronKey Vault Privacy 50は対応OSにmacOSが入っていて、FIPS 197の認定と5年保証まで付きます。
本体にキーパッドを持つ機種はもっと単純で、PCに何も入れないのでOSを問いません。参考価格17,697円のKingston IronKey Keypad 200 USB-Cがこれにあたり、3万円を超えるApricorn Aegis Secure Key 3NXCと同じようにWindowsでもMacでもLinuxでも開けます。ここでは8台を参考価格の順に並べ、解錠方式・暗号化方式・対応OS・認証・容量・保証期間の6つで比べます。
目次(8項目)
まず自分の手元にWindowsが1台あるかを確かめる
暗号化USBメモリで最初に決まってしまうのは、暗号の強さではなく手元の機械の側です。PC上の専用ソフトで開く機種は、メーカーが実行ファイルを用意したOSでしか開きません。Windowsが1台もない環境では、この時点で選べる範囲が変わります。
会社から支給されたWindowsのノートと、私物のMacの両方で同じ1本を使い回す形もよくあります。その場合はWindows版とMac版の解錠プログラムが両方あるかを見ることになります。バッファローのRUF3-HSL16GはWindows用の OPEN_HS.exe とMac用の OPEN_HS_MAC.app を持っていて、公式FAQにもMac側の手順が載っています。
ここで扱うのは、持ち出したファイルそのものを守る道具です。GitHubやGoogleのアカウントを乗っ取られないようにするセキュリティキーとは役割が別で、片方があればもう片方が要らなくなる関係にはありません。アカウントの守りをいくら固くしても、鞄から落ちたUSBメモリの中身は読まれます。
容量の当たりも先に付けておきます。この8台は4GBから128GBで、1GBあたりの値段は普通のUSBメモリより一桁高くなります。値段は暗号化モジュールに付いていて容量には付いていないので、数十GBを超えるファイルを運ぶなら外付けSSDのほうが噛み合います。読み書きの速度も、この8台は公式が転送速度を出していないものが多く、8台を同じ土俵に並べられません。
暗号化USBメモリは解錠のしかたで2系統に分かれます
製品ページの書きぶりは各社ばらばらですが、開け方で見ると2つしかありません。どちらもデータはハードウェアのAES 256ビットで暗号化されるので、暗号そのものの強さではこの8台に差が付きません。
- PC上の専用ソフトで開く:USBメモリの中に入っている解錠プログラムを起動し、パスワードを入れると本体のドライブが見えるようになります。RUF3-HSL16G・IronKey Vault Privacy 50・ED-E4/16GR・IronKey D500Sの4台がこの形です
- 本体のキーパッドで開く:USBメモリに付いた数字ボタンでPINを入れ、開いた状態でPCに挿します。PC側から見ればただのUSBメモリなので、ソフトもドライバーも要りません。IronKey Keypad 200・SecureUSB KP・datAshur PRO2・Aegis Secure Key 3NXCの4台がこちらです
指紋センサーで開く機種もカテゴリとしては存在しますが、国内で普通に買える現行品に該当が無かったので、この記事では系統から外しています。
2つの系統は値段の順に並びません。いちばん安い11,967円のRUF3-HSL16Gも、19,478円のIronKey D500Sも、どちらもPC上のソフトで開く形です。その間の17,697円にあるIronKey Keypad 200はキーパッドで開くのでPCを選びません。OSを問わないという性質は、上位機種の特典ではなく解錠方式に付いてくるものです。
8台の解錠方式・対応OS・認証を並べ直す
各社の公式仕様に載っている値だけを並べました。容量と保証期間も、あとの採点で使うので同じ表に入れてあります。
| 製品名 | 解錠方式 | 暗号化方式 | 対応OS | 認証 | 容量 | 保証期間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| バッファロー RUF3-HSL16G | PC上の専用ソフト | ハードウェアAES-256 | Windows・macOS | 認証なし | 16GB | 1年 |
| Kingston IronKey Vault Privacy 50 | PC上の専用ソフト | ハードウェアAES-256 | Windows・macOS | FIPS 197 | 16GB | 5年 |
| I-O DATA ED-E4/16GR | PC上の専用ソフト | ハードウェアAES-256 | Windows・macOS(初期化はWindowsのみ) | 認証なし | 16GB | 1年 |
| Kingston IronKey Keypad 200 USB-C | 本体キーパッド | ハードウェアAES-256 | OSを問わない | FIPS 140-3 Level 3 | 16GB | 3年 |
| Kingston IronKey D500S | PC上の専用ソフト | ハードウェアAES-256 | Windows・macOS・Linux | FIPS 140-3 Level 3 | 32GB | 5年 |
| SecureData SecureUSB KP | 本体キーパッド | ハードウェアAES-256 | OSを問わない | FIPS 140-2 Level 3 | 128GB | 3年 |
| iStorage datAshur PRO2 | 本体キーパッド | ハードウェアAES-256 | OSを問わない | FIPS 140-2 Level 3 | 4GB | 3年 |
| Apricorn Aegis Secure Key 3NXC | 本体キーパッド | ハードウェアAES-256 | OSを問わない | FIPS 140-2 Level 3 | 8GB | 3年 |
上から3行目で最初の逆転が出ます。参考価格14,500円のED-E4/16GRは対応OS欄にmacOSが並びますが、初期化ソフトのSUReset4はWindowsのみ対応で、macOS 11以降では書き込み禁止設定も使えません。1つ上に並ぶ13,969円のIronKey Vault Privacy 50は、macOS対応に加えてFIPS 197の認定と5年保証が付きます。安いほうがこの表のどの列でも上か同じで、値段だけが逆になっています。
最高値の30,766円にあるAegis Secure Key 3NXCは8GBで、認証はFIPS 140-2 レベル3です。参考価格が半額に近い17,697円のIronKey Keypad 200 USB-Cは16GBで、認証は一世代新しいFIPS 140-3 レベル3、端子も同じUSB Type-Cのキーパッド機です。Aegis側の持ち味は管理者PINとユーザーPINの使い分けや自己消去用PINといった運用の細かさで、暗号の格付けと容量では下に来ます。
28,914円のdatAshur PRO2は4GBです。より安い26,936円のSecureUSB KPは128GBで、同じキーパッド機・同じFIPS 140-2 レベル3・同じ3年保証です。容量が32倍になって、値段は下がります。この2台の並びは、値段が暗号化モジュールに付いていてフラッシュメモリの量には付いていないことをそのまま示しています。
使い道から引き当てる
何に使うかで、表のどの列を見るかが変わります。まとめて書いている「キーパッド機4台」はIronKey Keypad 200・SecureUSB KP・datAshur PRO2・Aegis Secure Key 3NXCの4台、「国内メーカーの2台」はRUF3-HSL16GとED-E4/16GRです。
| やりたいこと | 効いてくる列 | この記事の該当機 |
|---|---|---|
| Macだけで最初から最後まで使う | 解錠方式 | キーパッド機4台 |
| 支給のWindowsと私物のMacで使い回す | 対応OS | ED-E4/16GR以外の7台 |
| 借りたPCにソフトを入れずに開く | 解錠方式 | キーパッド機4台 |
| Linuxのマシンでも開く | 対応OS | キーパッド機4台とD500S |
| 提出先にFIPS 140-3を指定された | 認証 | Keypad 200とD500S |
| 数十GBのファイルを持ち出す | 容量 | SecureUSB KP |
| 長く使うので保証を厚くしたい | 保証期間 | Vault Privacy 50とD500S |
| 日本語のマニュアルとサポートが要る | メーカー | 国内メーカーの2台 |
条件を2つ重ねると、候補が1台になったり0台になったりします。「Macだけで完結させたい」と「128GBを持ち出したい」を同時に立てるとSecureUSB KPだけが残ります。一方で「FIPS 140-3 レベル3」と「32GBより多い容量」を重ねると、この8台には該当する機種がありません。FIPS 140-3を取っているのは16GBと32GBの2台だけだからです。
おすすめの暗号化USBメモリ8選
参考価格の昇順に並べます。順位ではないので、下に行くほど良くなるわけではありません。各カードの独自採点は、上の比較表に載せた値から下の規則で機械的に出しています。
1万1千円台:Windows用とMac用の解錠プログラムが両方入った国内メーカー機
独自採点の規則(5項目・各5点)
楽天のレビューは商品によって件数が1件から数百件までばらつき、件数の少ないものは1人の評価で平均が1点以上動きます。楽天側でレビューが消えると数字も黙って変わるので、順位付けには使っていません。代わりに、下の規則でスペックから機械的に点を出しています。記事に載せている表の値をそのまま当てはめているだけなので、読者が検算できます。総合点は5項目の単純平均です。用途によって効く項目が違うので、総合点だけでなく項目ごとの差を見てください。
- 導入しやすさ
- 参考価格が15,000円未満なら5点、20,000円未満なら4点、27,000円未満なら3点、30,000円未満なら2点、それ以上は1点とします。紛失に備えて2本用意するなら、この金額が2倍かかります
- 使えるPCの広さ
- 比較表の対応OS。OSを問わない=5 / Windows・macOS・Linux=4 / Windows・macOS=4 / Windows・macOS(初期化はWindowsのみ)=3。Windowsが1台も無い人には3以下は選べません
- 守りの認証
- 比較表の認証。FIPS 140-3 Level 3=5 / FIPS 140-2 Level 3=4 / FIPS 197=3 / 認証なし=2。個人の持ち出し用途では3で十分で、5が要るのは提出先が等級を指定してくる場合だけです
- 持ち出せる量
- 比較表の容量。128GB=5 / 32GB=3 / 16GB=2 / 8GB=1 / 4GB=1。参考価格はこの容量のもので、容量ではなく暗号化モジュールに値段が付くので、高い機種ほど大容量とは限りません
- 保証の長さ
- 比較表の保証期間。5年=5 / 3年=4 / 1年=2。国内メーカーの2台が1年、Kingstonのソフト解錠2台が5年です
参考価格・対応OS・認証・容量・保証期間は、記事の比較表と商品カードに載せている値をそのまま使っています。解錠方式は採点に入れていません。本体のキーパッドとPC上の専用ソフトのどちらが良いかは開く場所によって変わり、点にすると片方だけが理由なく上に来てしまうためです。解錠方式の違いは比較表と本文で書いています。読み書きの実測速度も、8台のうち公式に転送速度を出しているものが揃わないので、採点には使わず本文で触れています。この8台はレビューがすべて0件なので、楽天レビューの平均はこの記事のどのカードにも出ていません。
8台でいちばん安く、Windows用の OPEN_HS.exe とMac用の OPEN_HS_MAC.app が両方入っています。ただしパスワードの自動認証はWindowsだけの機能で、Macでは毎回パスワードを手で入れることになります。保証はハードウェア1年のみで、FIPSのような第三者認証は取っていません。
1万3千円台:FIPS 197とmacOS対応で保証5年のソフト解錠機
1つ前のRUF3-HSL16Gに2千円ほど足すと、FIPS 197の認定と5年保証が付きます。対応OSはWindows 11・10とmacOS 12.x〜15.xで、開け方はドライブの中に入っているプログラムです。管理者パスワードを10回続けて間違えるとドライブが暗号消去される仕様なので、パスワードの控えは別に持つことになります。
1万4千円台:対応OS欄にmacOSが並ぶが初期化ソフトはWindows専用
対応OS欄だけを見るとmacOS 10.11から26まで並びますが、付属の初期化ソフトSUReset4はWindowsのみ対応だとメーカーが注記しています。パスワードを忘れた時点でWindowsが要るので、Macしか持っていない人は最後まで使い切れません。日本語のマニュアルとサポートが要る場合の選択肢になります。
1万7千円台:本体のキーパッドで開くのでPCを選ばないUSB Type-C機
PCには何も入れず、本体のキーパッドでPINを入れて開きます。KingstonがOS非依存と明記していて、Windows・macOS・Linux・ChromeOS・Androidのどれでも同じように使えます。FIPS 140-3 レベル3の認証を持つのは、この8台ではこれと次のIronKey D500Sの2台だけです。
1万9千円台:FIPS 140-3 レベル3をソフト解錠で載せた32GB
暗号の格付けはこの8台で最上位のFIPS 140-3 レベル3で、対応OSにLinux Kernel 4.4以降まで入ります。ただし解錠はPC上のプログラムなので、開ける機械は対応OSの表の中だけです。基板をエポキシで固めた筐体とIP67の防塵防水が付いて、保証は5年になります。
2万6千円台:キーパッドで開く128GB。持ち出せる量がいちばん多い
128GBあり、持ち出せる量はこの8台でいちばん大きくなります。キーパッドで開くのでソフトもドライバーも要らず、USB Type-Cへの変換アダプターが同梱されます。PINを10回続けて間違えると中のデータが消える点は、他のキーパッド機と同じです。
2万8千円台:キーパッド機の定番。国内で買える最小構成は4GB
キーパッドで開く定番機ですが、国内でいちばん安く買える構成が4GBです。1つ前のSecureUSB KPが128GBで参考価格26,936円なので、容量では32倍の開きがあって値段は上になります。PINは7〜15桁で、IP68の防塵防水に対応します。
3万円台:USB Type-Cのキーパッド機で、この8台でいちばん高い
この8台でいちばん高いモデルです。端子はUSB Type-Cで、管理者用とユーザー用のPINを分けたり、押すと中身を消す自己消去用のPINを設定したりできます。容量は8GB、認証はFIPS 140-2 レベル3なので、値段の順に強くなるわけではないことがここにも出ます。
対応OS欄にmacOSと書いてあってもMacだけでは使えない機種がある
仕様ページの対応OS欄は「そのOSで読み書きできるか」を書いているだけで、最初のパスワード設定から、忘れたときの初期化までを同じOSで通せるかは別の話になります。Macを1台だけ持っている人が、他人のWindowsを借りずに最後まで使えるかを8台ぶん当たりました。
見たのは3つです。初期パスワードの設定にWindowsが要るか、付属ソフトにWindows専用の機能が残っていないか、そしてパスワードを忘れたときの初期化にWindowsが要るか。
| 製品名 | 初期パスワードの設定 | 忘れたときの初期化 | Windows専用の機能 | Mac 1台で完結するか |
|---|---|---|---|---|
| バッファロー RUF3-HSL16G | Macでできる | 公式に記載を見つけられず | パスワードの自動認証 | 言い切れない |
| Kingston IronKey Vault Privacy 50 | Macでできる | 公式に記載を見つけられず | 無し | 言い切れない |
| I-O DATA ED-E4/16GR | Macでできる | Windowsが要る | 初期化ソフトSUReset4 | 完結しない |
| Kingston IronKey Keypad 200 USB-C | 本体のキーパッド | 本体のキーパッド | 無し | 完結する |
| Kingston IronKey D500S | Macでできる | 公式に記載を見つけられず | 無し | 言い切れない |
| SecureData SecureUSB KP | 本体のキーパッド | 本体のキーパッド | 無し | 完結する |
| iStorage datAshur PRO2 | 本体のキーパッド | 本体のキーパッド | 無し | 完結する |
| Apricorn Aegis Secure Key 3NXC | 本体のキーパッド | 本体のキーパッド | 無し | 完結する |
表で1台だけ「完結しない」に落ちるのがED-E4/16GRです。メーカーの仕様ページは対応OS欄にmacOS 10.11から26までを並べたうえで、付属の初期化ソフトSUReset4はWindowsのみ対応だと注記しています。対応OS欄だけを見て買うと、パスワードを忘れた日にWindowsを借りに行くことになります。同じページにはmacOS 11以降で書き込み禁止設定が使えないという注記もあり、Macでは機能が2つ欠けた状態で使う形になります。
RUF3-HSL16Gは判断を保留にしてあります。公式FAQにはMac側の手順が載っていて、初回に OPEN_HS_MAC.app を開くとパスワード設定の画面が出るところまでは書かれています。ただしそのFAQは対応するmacOSのバージョンにも、パスワードを忘れたときの初期化にも触れていません。パスワードの自動認証がWindows専用だということは仕様に書かれているので、Macだけで完結すると言い切れる材料が揃いません。
この表で「完結する」と言い切れるのは、キーパッド機の4台だけです。PCに何も入れないからです。初期PINの設定も、PINを忘れたときの初期化も、本体のボタンの組み合わせで行います。この4台にとって対応OSという欄は、そもそも判断の材料になっていません。
Kingstonのソフト解錠2台も、保留のほうに置いてあります。対応OSにmacOSが入っているので、初期パスワードの設定と日々の解錠はMacでできます。ただし管理者パスワードを10回続けて間違えて暗号消去されたあと、作り直しまでMacだけで通せるかは公式の記述を確認できませんでした。macOS版のアプリがある以上できる見込みは高いのですが、見込みを表に書くと、同じ理由で保留にしたRUF3-HSL16Gと基準が食い違います。なおIronKey D500Sは対応OSにLinux Kernel 4.4以降まで入るので、MacだけでなくLinuxのマシンでも開けます。
Macしか持っていない人がこの表を気にする場面の1つが、SSHの秘密鍵を別のPCへ持ち出すときです。VPSへSSHでつないでVimを使う構成では、鍵さえ持ち出せば出先のPCから同じサーバーに入って同じ環境で書けます。鍵のファイルは数KBしかないので容量はどれでも足りますが、出先で開けなければ意味がありません。キーパッド機なら、借りたPCにソフトを入れずに開けます。
確認していない範囲も書いておきます。ここで並べたのは各社が公開している仕様ページとFAQの記述の突き合わせで、8台を手元に集めてMacだけで初期化まで通したものではありません。ファームウェアの更新プログラムについては、この8台のうち利用者が自分で当てる形のものを公式に確認できませんでした。見つからなかったことを「配布されていない」と書くのは行き過ぎなので、表の列にはしていません。
パスワードを間違え続けると何が起きるのか
この手のUSBメモリには、パスワードを一定の回数だけ間違えると中身を消す仕組みが入っています。IronKey Vault Privacy 50は管理者パスワードを10回、SecureUSB KPはPINを10回、datAshur PRO2は管理者PINを10回続けて間違えた時点で、それぞれ暗号消去や初期化が走ります。
これは故障ではなく設計です。総当たりで開けられないようにするために、データではなく鍵のほうを消します。あとから正しいパスワードを思い出しても、消えた鍵は戻りません。datAshur PRO2についてはデータも暗号鍵もPINもすべて失われるとメーカーが書いています。
したがって、暗号化USBメモリは持ち出しの入れ物であって保管場所ではありません。ここにしか無いファイルを入れると、10回の打ち間違いで消える置き場所を1つ作ることになります。中身の元は手元のPCか別のディスクに残しておきます。
消す動作を自分から使えるようにした機種もあります。Apricorn Aegis Secure Key 3NXCは自己消去用のPINを別に登録でき、そのPINを押すと中身を消します。押した時点で中身を捨てる前提の機能なので、普段使うPINと取り違えないように控えを分けて管理することになります。
初期化の手順もOSに縛られます。ED-E4/16GRはWindows専用のSUReset4で初期化しますが、キーパッド機は本体のボタンの組み合わせだけで初期化します。前の節の表が分かれるのはこの部分です。
まとめ:判断の順番
値段の順に見ていくと、対応環境がいちばん広いのは中ほどのキーパッド機で、いちばん高い機種が最小容量という並びに当たります。次の順に決めると絞れます。
- 手元にWindowsが1台あるかを数える。1台も無いなら、ソフトで開く4台のうち初期化までMacで通せるものに限られます
- 解錠方式を決める。借りたPCや支給のPCで開ける必要があるなら、ソフトを入れないキーパッド機の4台になります
- 容量を決める。この8台は4GBから128GBで、数十GBを超えるなら外付けSSDのほうが向きます
- 認証を確かめる。提出先がFIPSの等級を指定してくる場合に効く項目で、個人の持ち出しではFIPS 197でも足ります
- 保証の長さを見る。1年と5年が混ざっていて、値段の順にはなっていません
- バックアップを別に用意する。10回の打ち間違いで中身が消える設計なので、ここにしか無いファイルを置きません
なお、この記事の仕様は各社の公式製品ページとFAQに載っている値です。8台を集めて解錠や初期化を実測したものではありません。参考価格は掲載時点でAmazonと楽天から取得したもので、レビューは8台とも件数が0件のため、楽天レビューの平均はこの記事のどのカードにも出ていません。