この記事では、Vim/neovimに関するキー操作「オペレータ+モーション」について、詳しくご紹介します。
Vimmerが思考の速度で編集できるようになる仕組みの1つです。ぜひ習得しましょう。
[解答] 変更する範囲が異なる
解説1. cw
(ノーマルモード)
cw
こちらは次のような意味合いになります。
- c -> 「変更」のオペレータ
- w -> カーソルのある単語から次の単語を指定するモーション(移動)
解説2. ciw
(ノーマルモード)
ciw
こちらも次のような意味合いになります。
- c -> 「変更」のオペレータ
- iw -> カーソルのある単語から次の単語を指定するモーション(移動)
ほぼ全く同じ意味合いになるように見えてしまいます。
しかし、それぞれで明確に違う点はこちらです。
- w -> カーソル位置から単語末まで
- iw -> カーソル位置にある単語頭から単語末まで
このようにカーソル位置によって動作が異なるわけです。単語頭にカーソルがあれば、全く同じ動作に見えます。
けっこう細かい違いなのですが、このような違いが理解できておくとキー入力を格段に減らせます。
とっさに手が動くようになるまで練習しましょう!
Vimで思考のスピードで編集する技術の1つ:モーション(移動)+オペレータ
先にもご紹介した通り、Vim / neovim を使って高速に編集するテクニックの1つとして、次の組み合わせを使いこなすことが挙げられます。
(ノーマルモード) オペレータ + モーション
適用する編集内容と範囲について数個のキーで実行できる仕組みとなります。
vim ヘルプでは次のように表現されています。
移動コマンドはオペレータコマンドの後に続けることができ、カーソルが移動する間のテキストにそのオペレータコマンドを施すことができます。つまりは移動前と移動後のカーソル位置の間のテキストです。
motion – Vim日本語ドキュメント
少ないキー入力(ステップ)で、多彩な機能が実行できる Vim / neovim の便利さを象徴する機能とも言えますね。
この仕組みを最大限に生かすためには、数あるオペレータとモーションを覚える必要があります。
オペレータとは
オペレータ(オペレータコマンド)は、削除や変更などの編集機能(オペレーション)を指定するために使われます。
主なオペレータはこちら。
キー | オペレーション(実行内容) |
---|---|
c | 変更 |
d | 削除 |
y | ヤンク |
~ g~ | 大文字/小文字の入れ換え |
gu | 小文字にする |
gU | 大文字にする |
> | インデント下げ |
< | インデント上げ |
zf | 折り畳み作成 |
他にもいくつかありますが、使い方が非常に複雑になるため省略しています。詳しくは Vim ヘルプをご覧ください。
“inner” モーションとは
モーションとは、通常は「カーソルの移動」を指します。しかし、オペレータなどと組み合わせる場合には、その適用範囲を示すことになります。
その中でも、今回紹介するのは “inner” が付くモーションです。
キー | モーション(移動) |
---|---|
左 iW 右 iw | カーソル下にある単語 (スペース含まず) |
左 aW 右 aw | カーソル下にある単語 (スペース含む) |
is as | カーソル下にある文 (i: スペース含まず、a:スペース含む) |
ip ap | カーソル下にある段落 (i: スペース含まず、a:スペース含む) |
a) / a( / ab i) / i( / ib a} / a{ / aB i} / i{ / iB a” / a’ / a` i” / i’ / i` a> / a< i> / i< | カーソル下にある各記号のブロック (i: スペース含まず、a:スペース含む) |
at it | カーソル下にあるタグブロック (i: スペース含まず、a:スペース含む) |
後方 ( 前方 ) | 1段落 |
後方 ]] 前方 [[ | 1セクション |
次 ]m / ]M 前 [m / [M | メソッド |
モーションはオペレータよりも更に沢山あります。
用途によっても利用要否が変わってきますので、こちらを一読して必要なモーションだけピックアップしておくのも1つの上達法でしょう。
利用例
次のようにバリエーションが非常に豊富です。
キー | 処理内容 |
---|---|
dis | カーソル下にある一つの文章を削除する |
ci” | カーソル位置にある””ブロックの中身を削除する |
ca( | カーソル位置にある()ブロックを丸ごと削除する |
補足情報
- 利用頻度
- 便利さ
- 覚え易さ
関連するVimヘルプ
Vimからは、下記のコマンドでヘルプを確認できます。
:help motion.txt :help operator
ヘルプで検索するときは、通常は大文字小文字は識別されませんので、どちらでも構いません。
参考書籍
こちらの書籍でも 「オペレータ+モーション」 が詳しく紹介されていますので、ぜひ確認しましょう。
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